英文契約書の相談・質問集227 NDAの秘密情報は指定するのか広く定義するののどちらが良いですか。

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「NDAの秘密情報は指定するのか広く定義するののどちらが良いですか。」というものがあります。
 

 NDA(Non-Disclosure Agreement)を作成する際は,何が秘密情報に当たるかを定義しますが,その定義の方法には,大きく分けて2つの方法があります。

 

 1つ目は,情報の開示当事者が,何が秘密情報であるかを指定するというパターンです。

 

 情報の媒体に"Confidential"や"Proprietary"などと表示した場合に限り秘密情報に該当するというパターンです。

 

 口頭で提供した情報の場合は,一定の期間内にそれが秘密情報である旨を書面などで通知した場合に秘密情報になるとも記載するのが一般的です。

 

 2つ目の方法は,例外として規定する情報に当たらない限り,開示当事者が情報の受領当事者に開示する情報は広く秘密情報となるというパターンです。

 

 こちらは,情報として一般的に価値のあるものはおよそすべて秘密情報に該当するというパターンです。

 

 通常,秘密情報に該当しない例外規定(例えば情報開示時にすでに公知となっている情報)が挿入されているので,この例外規定に該当しない限りは,基本的にすべての情報が秘密情報として扱われるということになります。

 

 どちらのほうが良いかは,立場によってケースバイケースという面もありますが,海外取引では,前者が採用されるケースのほうがかなり多いです。

 

 理由はいくつかありますが,まず,後者の秘密情報の定義を広くするというパターンでは,どの情報が秘密情報になるのかがあいまいになり,広く捉えられすぎる欠点があります。

 

 そのため,受領当事者の判断が誤りで,開示した情報が秘密情報に当たると情報の開示当事者に主張されてしまったりするリスクが高まります。

 

 また,秘密情報に該当する範囲が広すぎるということで,何らかの理由で紛争化し訴えられたようなときに,裁判所などの判断により秘密情報の定義を制限されたりする可能性も高まります。

 

 他方,秘密情報を開示当事者が指定するパターンは,手続は煩雑になりますが,何が秘密情報で,何がそうでないかが明確になります。

 

 そのため,受領当事者の裁量が狭くなり,秘密情報の保持の安全性がより高まると考えられるでしょう。

 

 もし守秘義務違反があった場合にも,その情報が秘密情報に該当するかどうかの立証は容易になるというメリットもあります。

 

 情報を開示する当事者からすれば,何が機密情報であるかが明確であり,受領当事者の裁量の余地が小さく,秘密保持義務違反の立証も容易ということは,メリットになるでしょう。

 

 また,情報の受領当事者からしても,機密情報として管理しなければならない情報が明確であったほうが秘密保持義務違反のリスクを小さくできるので,受領当事者としてもメリットがあるといえるでしょう。

 

 何が秘密情報に当たるかを指定するパターンは,受領当事者が自分で秘密情報に該当するかを判断するのはリスクが高いので,情報開示当事者にその選定を委ね,責任を開示当事者に転嫁する側面があるといえます。

 

 こうした理由から,特に秘密情報の取扱いに慎重さが求められる海外取引では,前者の秘密情報を開示当事者が指定するというパターンが採用されることが多いのです。

 

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