英文契約書の相談・質問集228 一般的に市場で流通するレベルであれば欠陥品とはいえませんよね。
海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「一般的に市場で流通するレベルであれば欠陥品とはいえませんよね。」というものがあります。
確かに,日本法でも,旧民法上の「瑕疵」(欠陥)とは,「その物が通常備えるべき品質と性能を欠いていること」と定義されますので,設問のように一般的に市場で流通するレベルの品質と性能を有しているのであれば,欠陥品とはいえないでしょう。
ただし,各国によって法律や判例の内容も異なりますし,商慣習も異なります。
また,商品によって求められる品質や性能にもレベルの違いがあるのが普通です。
消耗品なのか,継続して使用する機械のようなものなのかによって,備えるべき品質も性能も自ずと異なるでしょう。
私の経験した事例の中にも,日本ではアウトレット品になってしまうレベルの商品でも,生産国では問題なく正規品として市場に流通するという考えの違いが正面から問題になったケースがありました。
輸入者である日本企業が海外サプライヤーに品質クレームを入れても,サプライヤーは自国では何ら問題なく売れる品質を備えているため,クレームをまともにとりあってくれなかったのです。
このように,自社や自国の目線で考えた場合の欠陥品かどうかの基準が,相手方にそのまま適用できるかは不確実なのです。
したがって,なんとなく品質を保証するなどと契約書に書いただけでは,どのレベルの品質を保証したのかがわからず,当事者の見解が一致せずにトラブルになることは容易に想像できます。
こうした危険を回避するためには,やはり英文契約書で求められる品質についてできるだけ細かく合意しておくことでしょう。
例えば,印刷のズレやインクのはがれなど細かいと思われるようなことでもどの程度のズレやはがれを許容範囲とするのかについて協議して合意しておかないと重大なクレームになることがあります。
そのため,印刷のズレなどは正規の位置からプラス・マイナス何%ずれていても許容するなどと定めることもあります。
国によっては,相当品質問題について許容度が高い国もありますし,細かくうるさい国もあります。
また,商品によっては製造ラインの問題でどうしても一定の数量は問題がある商品が生産されてしまうということもあります。
そのようなときは,そのような商品を全体の何割程度許容するのかについて予め合意することもあります。
当然ですが,品質問題はビジネスの根幹に関わる大きな問題です。
それゆえ,品質について取り決めるときは,誤解や見解の不一致が生じないように,できるだけ細かい内容まで踏み込んで合意しておくことが重要です。
言葉・文章だけで取り決めるのではなく,図面などを利用してわかりやすく合意することも有効です。
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