英文契約書の相談・質問集229 販売店の卸先が販売地域外に販売した場合は仕方ないですよね。

 

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店の卸先が販売地域外に販売した場合は仕方ないですよね。」というものがあります。

 

 日本のメーカーが海外の販売店(Distributor)と,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結したとします。

 

 

 この場合,通常は,販売店(Distributor)が商品を販売してよい地域を限定します。

 

 

 例えば,ドイツである企業を販売店(Distributor)に指名した場合,販売地域はドイツの国内に限るというように指定します。

 

 

 指定された販売地域を,英語ではTerritoryと呼んでいます。

 

 

 販売店(Distributor)は,この販売地域以外の国や地域に商品を販売することを禁止されます。

 

 

 ところが,販売店(Distributor)ではなく,販売店(Distributor)がドイツの卸業者に販売したところ,その卸業者が他国に販売するということがあります。

 

 

 この場合,販売店(Distributor)は,直接販売地域外に販売したわけではありませんので,契約違反はありません。

 

 

 販売店(Distributor)が,この卸業者との間で契約書を交わしていて,その契約書に卸業者もドイツ国内でしか商品を売ってはならないと書いてあれば,販売店(Distributor)は卸先に対し,契約違反を主張できるでしょう。

 

 

 ただ,日本のメーカーはこの卸業者と何らの契約も交わしていませんので,卸業者に契約違反を主張してドイツ国外に販売することをやめるように主張することはできません。

 

 

 商標権侵害などがあれば,直接卸業者に対し,日本のメーカーがクレームを入れられますが,そのような事情がない限りは,対処するのは難しいといえます。

 

 

 このような事態を防ぐように,完璧な方法ではありませんが,「販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に,販売店(Distributor)が,当該卸業者が販売地域以外に販売することを知っていたり,疑わしいと考えたりする場合には,その卸業者に販売店(Distributor)は商品を販売してはならない」という条項を入れることがあります。

 

 

 これにより,販売店(Distributor)がその卸業者が他国に販売することを知っていたか,知ることを疑えたはずだと立証しなければならないものの,一応,販売店(Distributor)の契約違反を主張できる根拠にはなります。

 

 

 とはいえ,これほど流通がグローバル化した時代で,販売地域外に商品が流れることを100%防ぐということは,現実的には困難といえるでしょう。



 また,このような規制を契約書で定めると場合によって各国の独占禁止法・競争法(Competition Law)に違反することもあるので,現地法の調査も必要になってきます。


 

 ちなみに,EU競争法の下では,上記のような例で,サプライヤーが販売店(Distributor)に対し,売り先の業者が他国に転売することがわかった場合に,その売り先の業者に商品を販売してはならないという規定を入れると違法になります。



 したがって,上記のドイツを販売店とした事例で,販売店の顧客がドイツ国外に転売することがわかっている(または合理的に見てわかる)場合に,ドイツの販売店はその顧客に商品を卸してはならないという規定を販売店契約書に挿入していると,EU競争法上の問題を生じるということになります。



 この点に関するEU競争法の詳しい解説記事はこちらでご覧頂けますので,併せてお読み下さい。

 

 

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