英文契約書の相談・質問集230 製品の製造に関らなくても製造物責任を負うことはありますか。

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「製品の製造に関らなくても製造物責任を負うことはありますか。」というものがあります。

 

 製造物責任は,製品に欠陥があったことによって人が怪我をしたり,死亡したり,物が壊れたりした場合に,製造者等が負う責任のことです。

 

 最もわかりやすいのは,その製品を自社単独で製造し,これを自社で直接販売し,製品を市場に送り込んでいる場合です。

 

 これは,製造者が誰であるかも明確ですし,自社で製造した製品に欠陥があった場合に,その責任を負うというのは合理的ですし,理解しやすいでしょう。

 

 では,日本の販売店(Distributor)が,海外のメーカーから完成品を仕入れて,これを日本国内で販売していたという場合はどうでしょう。

 

 この日本の販売店(Distributor)は,製品の一部を加工しているなどということもなく,すでに完成した製品を仕入れて販売しているだけで製品の製造には一切関わっていません。

 

 それでも,この販売店(Distributor)は製造物責任を負います。

 

 日本の製造物責任法を前提に解説しますが,製造物責任を負う製造業者等には,製造物を製造した業者だけではなく,輸入者も含まれるからです。

 

 また,物理的に製品の製造そのものに関わっていなくても,製造物,その包装,取扱説明書等に製造業者として表示された者や,実質的な製造業者と認められる表示をした者なども含まれます。

 

 したがって,よくあるOEM形態でも注意が必要です。

 

 例えば,あるブランドをもった小売業者が,日本のある工場で生産された製品を仕入れて,自社のブランドを付して販売展開しているとします。

 

 この場合,実質的に,製造者がその小売業者であると表示したと認められる場合には,商品を輸入したわけでもなく,製造にも一切関わっていないにもかかわらず,小売業者が製造物責任を負うことになるのです。

 

 以上のように,製造物責任は,必ずしも製造者そのものでなくとも責任を生じうるものです。

 

 特に,日本企業が海外から商品を輸入販売する場合には,輸入者の規模などにかかわらず,法律上,輸入者であれば製造物責任を負いますので,注意が必要です。

 

 製造物責任が生じると損害が多大になるようなケースがありますので,PL保険(生産物賠償責任保険)に加入するなどの対策を立てる必要があります。

 

 この点,海外のメーカーと日本の販売代理店が契約する際には,PL保険(生産物賠償責任保険)に加入することが契約書で義務付けられていることがよくあります。

 

 日本国内の取引ですと,販売代理店がメーカーからPL保険(生産物賠償責任保険)に加入することを契約で義務付けられるというのはあまり一般的ではないと思います。

 

 ところが,海外取引ではPL保険(生産物賠償責任保険)加入を契約で義務付けるというのは一般的に行われますし,保険事故が起きた場合に支払われる保険金の金額まで「〇〇US$以上」などと指定されていることも多いです。

 

 このような保険加入義務があるのに,加入を怠っていると,理屈の上ではそれ自体が債務不履行・契約違反になりますので,十分注意しなければなりません。

 

 販売代理店が契約書に定めるとおりの保険に加入しているかをメーカーがチェックできるように保険証書(insurance policy)を交付するように義務付けていることも多いです。

 

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