英文契約書の相談・質問集236 相手が契約違反をすれば契約を解除できますよね。

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「相手が契約違反をすれば契約を解除できますよね。」というものがあります。

 

 確かに,日本法の下では,相手方が相手の帰責事由によって契約に違反して債務不履行を行った場合には,契約違反をされた当事者は,相手に対し,損害賠償請求と契約解除ができると決められています。

 

 ただし,世界を見渡すと契約違反があった場合に契約解除が認められる法律ばかりではありません。

 

 そのため,英文契約書に定めた準拠法がどこの国の法律かによって,契約違反の場合に契約解除ができるかどうか異なってきます。

 

 例えば,英米法では,契約違反をされた場合の救済手段は,原則として損害賠償請求(Damages)であり,契約解除は例外的な救済措置に位置づけられています。

 

 英国法では,契約違反をされた場合の救済措置は,原則として損害賠償請求のみですが,違反した条項が契約の重要な要素に当たる場合は,例外的に解除も認められるとされているのです。

 

 その条項に違反しても損害賠償請求しか認められない条項は,Warrantyと呼ばれ,違反すれば損害賠償請求と解除の両方が認められる条項は,Conditionと呼ばれます。

 

 因みに,両者の中間的な位置づけとなる条項がIntermediate条項と呼ばれ,これは,その条項に違反すれば損害賠償請求は常に認められるものの,解除については契約違反の程度次第ということになります。

 

 このように法律によって,契約違反の場合の救済措置はまちまちなのです。

 

 これに加え,前述の英国法の例のように,条項の重要度に応じて解除が認められるかどうか,つまり,救済措置の内容が変わるということもあります。

 

 そのため,どの条項に違反すれば契約解除ができるのかを英文契約書で予め合意しておかないと,違反の場合の効果が不明瞭で不安定となってしまいます。

 

 したがって,英文契約書を作成,チェック(審査),修正する際には,Termination(解除)条項を設け,どのような違反をすると契約解除ができるのかについて明確に規定しておく必要があります。

 

 具体的には,何条に違反した場合に契約解除ができると定める方法が挙げられます。

 

 こうすれば,当事者がどの条項に違反したかを特定できさえすれば,契約解除ができるかどうかが明確になります。

 

 他には,具体的に何条に違反した場合に契約解除が認められるという定め方はせず,material breach(重大な違反)については契約解除が認められると決めることもあります。

 

 こちらの方法によると,どの条項に違反した場合にmaterial breachになるのかが曖昧であるという欠点がありますが,バッファーを持たせることができるので,契約違反をしてしまった当事者が契約解除を免れて救済されることに重点を置く場合には妥当性が高いともいえます。

 

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