英文契約書の相談・質問集264 英文契約書の「締結」に関して注意することはありますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書の「締結」に関して注意することはありますか。」というものがあります。
英文契約に限らず,一般に,契約は,会社を代表する権限を持つ者同士がサインすることによって成立します。
これをもって「契約を締結する」といいますが,必ずしも,サインをした日に契約の効力が生じるというわけではありません。
英文契約書に契約の発効日について何も記載していなければ,最後の当事者が署名した日が契約の締結日かつ発効日になるでしょう。
ただ,契約をいつから発効させるのかは,当事者が自由に設定できます。
そのため,契約の締結日以降の日を契約の発効日(Effective Date)と定めても問題はありません。
ただ,契約の締結日よりも過去の日を発効日とする場合,問題を生じることがありえます。
実際には,契約が存在していないときから,存在していたかのように,いわば「偽装する」ことになるからです。
もっとも,現場では,このような契約の発効日を何らかの事情により過去に遡らせるということはあります。
こうした日付を遡らせる行為を「バックデート」と呼ぶことがあります。
このようなバックデートする行為が直ちに無効になったり,違法になったりするということはありません。
ただ,後に何らかのトラブルにならないように,遡ったことを契約書に明記しておいたほうが無難ではあります。
そういう場合には,英文契約書に,Retroactivelyという用語を入れて,バックデートしたことを明確にするということが行われることがあります。
契約の締結日や発効日は,当然ですが,取引にとって非常に重要ですので,締結の事実や発効日があいまいになるようなことは基本的なこととして避けなければなりません。
そのため,英文契約書を作成したりチェックしたりする際には,締結日と発効日を意識して明確になっているかを確認し,仮にバックデートするのであれば,そのことがわかるように記載することを検討しましょう。
特に,その契約に携わった人が全員退職しているというような状況になった際に,契約締結日や発効日が問題になることがあります。
そのため,契約締結に直接携わった人以外の人が読んでも,何が行われたかがわかるように作っておかなければなりません。
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