英文契約書の相談・質問集265 契約書に訳文が付いているときは何に注意すれば良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書に訳文が付いているときは何に注意すれば良いですか。」というものがあります。
 

 例えば,英文契約書に中国語の訳文が付いているような場合です。

 

 この場合,まず,どちらの言語の契約書に効力を持たせたいのかをはっきり決めます。

 

 英文契約書のほうなのであれば,中国語はあくまで参考のための訳文に過ぎず,中文には法的効果がないことを明確に英文契約書と中文の訳文の両方に記載します。

 

 これがいわゆる言語条項(Language Clause)です。

 

 これにより,基本的には,英文で書かれた契約書のみが法的効力を有し,中文のほうは法的効力がないということになります。

 

 ただ,もともと参考に過ぎない別の言語の翻訳文を契約書と一緒にする必要があるかといえば,そんなことはありません。

 

 そのため,あとで無用な主張(例えば,中国語のほうにしか書かれていない内容があったようなときに,それについては中文契約書が有効であるなどの主張)を許したりしないように,そもそも訳文を添付しないほうが安全といえるでしょう。

 

 上記の例でいえば,中国語での訳文を必要とする当事者が自己責任で中国語に訳せば良いだけで,中文契約書をわざわざ英文契約書に添付する必要はないし,しないほうが望ましいということです。

 

 契約書の言語を決めた以上は,その言語で理解する責任が当事者にはあります。そのため,その言語で理解できないのであれば,自社の責任で翻訳するのが原則になります。

 

 また,どうしても中文翻訳を添付する場合でも,中文のほうの契約書にサインはしないほうが無難です。

 

 上記の例のように,万一中文の訳文のほうにだけ書かれている内容があったようなときに,中文のほうにもサインがあると,より相手方が中文の内容の効力を主張しやすくなるでしょう。

 

 したがって,このような混乱を防ぐためには,できれば,効力のある契約書のほうにだけサインをし,訳文にサインすることは避けるのが賢明といえます。

 

 具体的にどうするかというと,言語条項を入れて英文契約書のほうにだけサインをし,訳文はサインをせずにただ英文契約書の後ろに添付するということになります。

 

 どうしても訳文のほうにもサインしなければならないときは,最低限上記の言語条項を書いて,英語と中国語の内容に大きな齟齬はないことを確認した上で,訳文にもサインをすると良いでしょう。

 

 国際取引では,異なる言語を取り扱う当事者が契約書にサインすることになるので,どの言語を使用するか,訳文をどうするかは重要なテーマですので,前述した事項に注意してスキのない契約書を作成する必要があります。

 

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