英文契約書の相談・質問集279 トラブルに備えて日頃しておくべきことはありますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「トラブルに備えて日頃しておくべきことはありますか。」というものがあります。
これは,とにかく記録に残してあとで証拠として使えるようにするということに尽きます。
例えば,相手方と契約締結前の交渉,契約後の受発注などのやり取りをする際も,常にメールなどで記録に残しておくことが大切です。
口頭でやり取りしたのであれば,簡単な議事録(Minutes)などをつけておくと良いでしょう。
議事録は相手方のサインをもらうまでは難しくても,作成して,相手方に送り,受領したことを確認するメールを受け取っておくだけでも後で証拠として使えることがあります。
英文契約書には,完全合意条項(Entire Agreement)があるため,契約書以前に交わしていた合意などは失効するので,メールなどを残しておいても意味がないと思われるかもしれません。
ただ,もし英文契約書のある条項の解釈について自社と相手方の解釈が異って揉めることになったような場合,契約前の電子メールに書かれた内容を解釈の参考にするということはありえます。
そのため,契約締結前も含めて,相手とのやり取りはすべて記録しておくことは有益なのです。
例え信頼関係があって,うまくいっているように思えても,担当者が交替したり,経営者が交替したり,オーナーが交替したりして,これまでと様子が異なることはよくあります。
そのため,信頼関係があるからとそれにあぐらを欠いて油断することなく,いつ何が起きても大丈夫なように,すべての行動について証拠を残しておくというような覚悟が必要です。
そのようにしておけば,いざトラブルがあった場合でも,適切な時系列表を作成することができ,顧問弁護士にも的確で容易に報告をすることが可能になります。
「後悔先に立たず」ですので,日頃から意識して証拠を残しておくということを徹底することをおすすめします。
トラブルが起きてから記録を始めても後の祭りということが多いです。そうではなく,何も起きていない状態だからこそ,記録をしておくことが大切なのです。
平穏な状態で記録した内容は主観も入っていないことが多く,証拠価値が高いことも多いです。
後で言った言わないの水掛け論にならないためにも,平常時から記録を残しておく習慣をつけることがトラブル時に交渉を有利にすすめる大原則といえるでしょう。
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