英文契約書の相談・質問集282 弁護士が「大丈夫です」と明言しないのはなぜですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「弁護士が『大丈夫です』と明言しないのはなぜですか。」というものがあります。

 

 もちろん,質問内容にもよるのですが,法律問題は大抵「幅」(バッファー)があり,100%の確率で断言できることのほうが少ないため,弁護士はときに断定を避ける傾向にあります。

 

 そもそも,弁護士が勝訴見込みなどについて断言してはならないと法律で決められていることも影響しています。

 

 さらに具体的に説明すると,例えば,法律にそのケースが適法になることがそのまま書かれていたり,そのケースとほぼ同じケースにおいて最高裁が適法だと言っていれば,「適法です」と弁護士も自信をもって回答できるでしょう。

 

 ただ,法律相談は,そのような明確で簡単な相談ばかりではありません。グレーで微妙だからこそ弁護士に相談するわけです。

 

 また,上記のように,自社が行うことについて大丈夫かどうかということだけではなく,相手方がいる場合,自社の行動によって相手方がどう動くかというのは,自社でコントロールできません。

 

 相手が契約書の内容や法律通りに行動してくれる保証があれば,かなりの確度をもってアドバイスできるかもしれませんが,そうはならないため,仮定の話がどうしても多くなります。

 

 したがって,およそ法的問題は,100%安全とできることはめずらしく,問題が起こる確率をどれだけ下げられるかという問題に集約されるのです。

 

 そのため,問題が起こる可能性をできる限り低くするためのあらゆる行動を取っておき,問題が生じる可能性がゼロではないが,最大限低くしたという段階で前に進むということが大切になってきます。

 

 このように法律問題には「幅」(バッファー)がありますので,「これをやったから安全」,「これをすれば大丈夫」というよりは,「あらゆる手を尽くしてできるだけ安全を目指す」というイメージが正解に近いです。

 

 契約書の内容を考えるのもそうですし,普段から証拠を残しておくのもそうですし,アクションを起こすためのプロセスを検討するのもそうですし,相手方に出すレターの内容を考えるのも,すべて「より安全な状態」を目指す活動です。

 

 こうした一つ一つの行為がすべて影響して,法的リスクが小さくなっていくというイメージです。

 

 この点が理解できれば,弁護士が断定せずに,可能性の話をする傾向にあるのも理解できるかと思います。

 

 問題が起こる可能性をできるだけ低くするための全方位的行動をとることが,予防法務の重要なテーマとなります。

 

 そして,弁護士の見解を参考に最終的に意思決定をするのはやはりクライアントです。

 

 弁護士はクライアントができるだけ「正しい」意思決定ができるように,様々なリスク要因を分析し,選択肢を提示するのが仕事と言えるでしょう。

 

 クライアントにとって何が正解かは,各クライアントの状況により異なりますから,弁護士とディスカッションをするうちに,弁護士の見解も変化してくることもよくあります。

 

 これは,クライアントの置かれている状況や目指す方向性について情報が共有できてきたからこそ起こる現象です。

 

 弁護士の見解は決してガチャガチャのように機械的に出てくるものではないと理解されておくと良いかと思います。

 

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