英文契約書の相談・質問集242 販売店は改良品も自動的に取り扱えますよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店は改良品も自動的に取り扱えますよね。」というものがあります。

 

 例えば,日本のメーカーが外国でマーケット開拓をしたいと考え,現地に販売店(Distributor)を指名して現地企業と販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を交わしたとします。

 

 通常,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結する場合,現地の販売店(Distributor)に取り扱ってもらう商品を特定して契約します。

 

 取扱商品の指定方法はいくつかありますが,製品名称や製品番号などを記載して,仕様書や写真を載せたりして,商品の特定を行います。
 

 メーカーが製品ごとに販売店(Distributor)を変えて,別々に販路開拓したいなどと考えている場合,特に注意が必要です。

 

 というのは,販売店の取扱商品を特定しないと,すべての商品が対象となりかねず,そうなると,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)などの場合,ほかの販売店に一定の商品を任せるということができなくなってしまうからです。

 

 では,販売店の取扱商品が決まって取引が行われている間,対象商品のアップグレード版,つまり改良品が開発された場合,販売店は改良品も販売できるのでしょうか。

 

 英文契約書に,改良品についての記載があれば,その記載どおりになるので,問題になることはないでしょう。

 

 ところが,英文契約書に改良品のことが何も書かれていない場合は,問題になることがあります。

 

 販売店(Distributor)としては,取扱商品がバージョンアップされて改良されただけで,製品としては同じなのですから,当然取り扱えると考えるでしょう。

 

 これに対して,メーカーは,改良品はまた別の商品であり,既存の販売店(Distributor)には売ってほしくないと考えることがあります。

 

 そのため,改良品について最初から契約書に明記しておくのが最も安全ということにはなりますが,書いていないこともあります。

 

 では契約書に記載がない場合にどのように考えるかですが,一般的には,取扱商品として記載されている商品のアップグレード版であれば,商品としては同一カテゴリーの範囲内にあると考えられると思います。

 

 そのため,原則としては,販売店(Distributor)が改良品も取り扱えるという結論になることが多いとは思います。

 

 ただし,改良の程度が著しく,ほとんど前のものは別物であり,商品名も変わったというような場合は,別商品として,自動的に販売店(Distributor)が取り扱えるようになるわけではないということもあると思います。

 

 したがって,販売店(Distributor)に一手に手広く商品を販売展開してもらいたいという場合は特に問題ないと思いますが,大きな商品開発が予定されていて,そのタイミングではまた販売展開の手法を改めて考えたいというようなケースでは,あらかじめ契約書で対応しておいたほうがより安全だとは思います。

 

 この問題に限らず,契約書関連で紛争になるケースというのは,往々にして当事者の一方と他方が前提にしている理解が異なっていて,それが交渉時に露見しないまま取引が始まってしまうパターンに多いです。

 

 本件で言えば,サプライヤーは改良版は販売店契約の対象ではないと考えていて,販売店は対象だと考えているのですが,その点は契約書に書いていないし,高所持にも問題提起されなかったというケースが当てはまります。

 

 このようなことにならないように,あらゆる事態を想定して,話し合うべき事項を交渉のテーブルに載せて議論するようにしましょう。

 

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