英文契約書の相談・質問集243 アフターサービスについてはどう考えれば良いですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「アフターサービスについてはどう考えれば良いですか。」というものがあります。
例えば,日本のメーカーが海外の販売店(Distributor)と販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を交わして製品を海外で販売展開するような場合に,製品についてのアフターサービス・アフターフォローをどうするかという問題があります。
エンドユーザーが商品を使用して,不良品であれば店舗で取り替えてもらえば済むというような場合には,このアフターサービスの問題はそれほど大きな問題ではありません。
これに対し,B2Bビジネスで,大きな機械などを販売店(Distributor)に販売してもらうような場合,その機械のメンテナンスや故障が疑われる場合のフォローなどは大きな問題になります。
現地の販売店(Distributor)にメンテナンスの技術と知識があれば,販売店(Distributor)にアフターサービスを対応してもらうように契約書で取り決めておくのがベストでしょう。
ただ,そのようなケースばかりではありません。
中には,長年の職人の勘や技術がないと,故障の原因が特定できなかったり,直すのが難しかったりというケースもあります。
いくら科学技術が進歩していても一定の機械類についてはこうした人間の勘に頼った部分を完全に排除することはできていません。
そのような場合は,メーカー自らがアフターサービス対応をすると英文契約書で定めることもあります。
ただし,メーカーは日本にありますから,不具合が生じたとの連絡を受けてもすぐに動けるわけではありません。
そのため,最初はメールや電話で症状を聞き,軽い症状で比較的簡単に直るようなら,電話やメールで直し方のレクチャーを行って現場で購入者に直してもらったり,現地の販売店(Distributor)のスタッフに対応してもらったりすることもよくあります。
反対に,重い症状でメーカーの直接対応が必要な場合は,メーカーのスタッフが現場に赴くことになります。
このように,故障のレベルに応じて対応の内容を変え,そのことを予め契約書に落とし込んでおくことになります。
また,もし,製品が工場で使う機械などの場合,機械の故障により工場のラインが運転していなかった期間の機会損失の賠償請求を受けるということがないように,英文契約書で免責規定を設けて事前に手当しておく必要があるのはいうまでもありません。
ただ,いつまでもメーカーが直接海外の現場に対応しているのはやはり機動性に欠け,現実的ではありません。
そのため,通常は,一定期間をかけて,メーカーの技術員が販売店(Distributor)のスタッフを教育・トレーニングし,販売店(Distributor)で対応できるように技術と知識を習得してもらうということも行います。
もちろん,事前に教育を行っておいて,販売店(Distributor)で十分対応できるレベルになってから取引を開始するというパターンもあります。
このようなトレーニングに関しては,どのような条件で行うのか,費用はどちらがどの項目についてどう負担するのかなどについて事前に契約書で定めておく必要があります。
輸出による海外展開といっても商品を現地に販売して終了というスタイルばかりではありませんので,注意が必要です。
このように,アフターサービスは,継続的に使用する機械類やソフトウェアなどの類では特に重要なテーマになりますので,英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には注意が必要です。
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