英文契約書の相談・質問集244 当局の販売許可が得られない場合不可抗力ですよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「当局の販売許可が得られない場合不可抗力ですよね。」というものがあります。

 

 例えば,日本のメーカーが海外の企業を販売店(Distributor)に指名して,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結し,ある商品を現地で販売展開しようとしたとします。

 

 この場合に,当該商品を販売店(Distributor)が販売するには,現地の行政機関の許認可を取得取得する必要があるという場合があります。

 

 販売店(Distributor)がおそらくこの許可を取得できるだろうという目論見のもとに,メーカーも販売店(Distributor)も海外展開の準備を行い,相当の費用を使っていたとします。

 

 ところが,しばらく活動しても,当局から許認可が得られず,最終的に許認可は得られないという結論になってしまいました。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)には,販売店(Distributor)が,許認可が必要な場合には当局の許認可を受けなければならないという義務が記載されています。

 

 また,損害賠償条項や解除条項も定められていて,当事者の契約上の義務違反は損害賠償請求や解除の対象になると規定されています。

 

 そのため,メーカーとしては,販売店(Distributor)が許認可の取得に失敗したことでこれまでビジネスの準備のために費消したコストなどが無駄になってしまったのですから,これらを損害として販売店(Distributor)に賠償請求したいと考え,請求をしました。

 

 これに対し,販売店(Distributor)としては,許認可を得るために必要な書類はすべて準備し,できることはすべて行ったのに最終的に許認可が出されなかったということであり,自分たちのせいではないと考えています。

 

 これを基に,販売店(Distributor)は,許認可の不取得は自社のコントロールが及ばない不可抗力によるものであり,自社に責任はないと主張してきました。

 

 契約書には,不可抗力(Force Majeure)免責の条項があり,当事者の責めに帰すことができない不可抗力によって相手方に損害を与えたとしても,その損害の賠償はしなくて良いと書かれています。

 

 この場合,どちらの言い分が正しいでしょうか。

 

 これは微妙な問題をはらんでいます。

 

 不可抗力事由に「許認可が取得できなかったとき」が明確に挙げられていれば,不可抗力に相当することが明らかですが,記載がないと,不可抗力といえないという結論になることも十分考えられます。

 

 許認可が出ないという事態は自然災害のようなものとは異質ですから,当事者がコントロールできない事態と果たしていえるのかという,解釈が曖昧な問題になってしまうのです。

 

 このように,許認可を得られなかった場合の取扱いについて契約書に記載いていないと,契約書の条項の解釈で揉めて,トラブルになることがあります。

 

 そのため,英文契約書で事前に,許認可の取得方法(具体的に何をすることが義務なのか),申請時期,いつまでに取得できなかったら取得不可能と判断するか,取得不可能となった場合にどちらがどのように費用負担し,契約をどうするのかなどを話し合って,取り決めておくのがベストです。

 

 許認可の取得については手続き的な面が大きいので,取得できるかどうか事前に予測することもある程度容易ですが,そうはいっても不測の事態が起こったり,異常に時間がかかったりすることがあります。

 

 したがって,甘く見て何も記載しないということがないように,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,許認可に関する規定が作り込まれているか確認する必要があります。

 

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