英文契約書の相談・質問集248 交渉が有利になるタイミングはありますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「交渉が有利になるタイミングはありますか。」というものがあります。
納品された一部の商品が不良品かどうかが問題になり,返品を受け入れるべきかどうか揉め事が起きて,当事者間で交渉することになったとします。
買主は不良品だから返品できると主張し,売主は不良品ではないから返品は受け入れないと主張していたとします。
ここで,今回納品した代金はまだ一切支払われていないとします。
この場合,若干買主のほうが交渉のタイミングとしては有利です。
なぜなら,問題になっていない商品の代金がまだ支払われていないので,売主としては,問題のない商品の代金は早く支払ってほしいという「弱み」があるからです。
売主は,買主から「問題がある商品の返品を受け入れてくれないのなら,全体が解決していないから他の商品の代金も支払わない」と言われてしまうと,それが法的にとおる主張かどうかはさておき,現実に資金繰りに影響が出て困ってしまいます。
そのため,このような場合は,なるべく早く問題のない商品の代金を着金させたいという動機が働くため,売主側が譲歩する可能性が高くなります。
これが,すでに代金を支払ってしまっていると,売主側の立場が強くなります。
買主としては,すでに払った代金を返金してほしいという「弱み」がありますので,それを実現するためには譲歩をしなければならない可能性が高まるからです。
言うまでもないですが,交渉事は開き直ることができるほうが強いと言いますか,「最悪それはどううでもいい」と考えられるほうが優位に立ちます。
そういう意味で,お金(に限りませんが)を追いかける側が不利になるのが基本ですので,そうならないタイミングで交渉をしかけるのがポイントといえるでしょう。
また,できるだけ自分の手元にお金を残すように買主はなるべく後払いを目指し,売主はなるべく先払いを目指すということが鉄則です。
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