英文契約書の相談・質問集251 最低購入数量未達の場合は契約違反に位置づけるべきですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「最低購入数量未達の場合は契約違反に位置づけるべきですか。」というものがあります。

 

 サプライヤーが独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を販売店(Distributor)と締結する場合,一般的には,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)を契約書に定めます。

 

 これは法的義務として拘束力があるため,違反すれば契約違反となり,販売店(Distributor)は契約書記載のペナルティを受けることになります。

 

 ただ,販売店(Distributor)によっては,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)の未達の場合を,他の契約違反とは区別してほしいと考えていることがあります。

 

 そのため,債務不履行解除(Termination)のところではなく,別に最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)の条項を設けて,そこに違反の場合の効果を記載することがあります。

 

 そして,債務不履行解除条項のところには,別途損害賠償請求を妨げないと記載する一方,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)条項の効果のところには,損害賠償については触れず,あくまで契約解除ができるだけだと契約書に記載することがあります。

 

 こうすることで,販促活動を努力したけれども,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)分を購入できなかった場合に,約束した最低購入金額分の損害賠償請求を受けることはないことを示し,販売店(Distributor)を安心させるのです。

 

 このように,一口に契約違反といっても,その違反に対してどのような効果や制裁を与えるかどうかは,違反した行為の性質や影響力により変えて良いわけです。

 

 制裁のレベルを違反の程度によって変える方法の一つとして,material(重大な)という用語もよく使用されます。

 

 例えば,契約違反があったとしても,その違反が軽微な場合には契約解除までは認めず損害賠償請求のみとしたいという場合に,「material breach(重大な違反)のときにのみ契約解除が可能である」という旨を契約書に記載することがあります。

 

 これにより,契約違反があった場合に常に契約解除が認められるわけではなくなるので,取引の安定性が保たれるというメリットがあります。

 

 もちろん,どのレベルの契約違反がmaterial(重大な)と言えるのかについては解釈の幅が生じてしまいますので,違反するとmaterial breachに該当することになる条項を列挙することもあります。

 

 その他にも,守秘義務違反や知的財産権侵害行為については,通常の契約違反・債務不履行とは異なる制裁を課すこともよくあります。

 

 契約書を作成する際は,ひな型にあてはめるのではなく,この違反があったらどのような制裁が適切かを個別具体的に考えて,ビジネスに合致したものを作成する必要があります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集252】第三次不法行為法リステイトメントとは何ですか。

 

IMG_6603 resized 2.jpg

 

 英文契約書に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。

 

 正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。

 

 原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。

 

 

お問合せ・ご相談はこちら

 お問合せフォーム・電話・メールでお問合せ頂けます。

 お問合せフォーム・メールでのお問合せがスムーズです。

 

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-6453-6337

担当:菊地正登(キクチマサト)

受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝日

※契約書を添付して頂ければ見積回答致します。
受付時間:24時間

 英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェック(全国対応),実績多数の弁護士菊地正登です。弁護士21年目(国際法務歴14年),約3年間の英国留学・ロンドンの法律事務所での勤務経験があります。英文契約・国際取引の専門家として高品質で迅速対応しています。お気軽にお問合せ下さい。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

03-6453-6337

<受付時間>
9:00~18:00
※土日祝日は除く

弁 護 士 情 報

弁護士  菊  地  正  登
片山法律会計事務所

東京都港区芝5-26-20
建築会館4F
tel: 03-6453-6337
email: kikuchi@mkikuchi-law.com

片山法律会計事務所

住所

〒108-0014
東京都港区芝5-26-20
建築会館4F

アクセス

都営三田線・浅草線三田駅またはJR田町駅から徒歩約3分です

受付時間

9:00~18:00

定休日

土日祝日

 弁護士インタビュー動画

書  籍

士業・翻訳業者・保険会社・金融機関の方へ

各士業の先生方,翻訳業者,保険会社,金融機関のお客様の英文契約書に関する案件についてお手伝いさせて頂いております。

ご紹介頂いたお客様の初回相談料は無料ですので,お気軽にお問合せ下さい。

ご相談方法

メール・電話・Web会議・対面の打ち合わせによる対応を行っております。

サイト内検索 - 英文契約書用語の検索ができます -