英文契約書の相談・質問集252 第三次不法行為法リステイトメントとは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「第三次不法行為法リステイトメントとは何ですか。」というものがあります。
これは,アメリカの法律協会という組織が作成しているもので,法律として機能するというものではないですが,製造物責任の解釈指針として利用されることがあります。
正式名称は,Restatement (Third) of Torts, Products Liability (1998)といいます。
製造物責任は各国で異なる内容で制定されていますが,国際的な製造物責任の事故に関しては,このような海外の解釈指針が利用されることがあります。
ヨーロッパにもEU指令として,「欠陥製造物についての責任に関する加盟国の法律,規則及び行政協定に関する理事会指令」というものがあります。
この指令に基づいて,EU加盟各国は,自国で法律を制定しています。
先進諸国において,製造物責任の規定の仕方が根本において異なるということはないですが,やはり,各国において内容は異なるので,交渉などを行う場合には,準拠法にもよりますが,こうした解釈指針を参考にしながら,事案を分析していくことになります。
製造物責任は無過失責任とされたり,エンドユーザーとの間で免責不可とされたり,メーカーには厳しい条件が課されています。
海外進出にあたっては,現地の製造物責任がどのようになっているかについても場合によって事前調査し,PL保険(生産物賠償責任保険)にも加入して万全の体制で臨むべきでしょう。
特に,人の生命身体に危害を加える危険性が高い製品であれば,これらの対応は必須といえるでしょう。
製造物責任関連でとりわけ注意すべき製品の例としては,医療機器や玩具などが挙げられます。
医療機器は欠陥があると事故が重大になりやすいですし,玩具は子どもが使うので危険性への細心の配慮が要求されるからです。
製造物責任を生じてリコールなどとなれば多額の損害を出してしまいますし,レピュテーションにも大きなダメージを受けますので,十分注意しなければなりません。
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