英文契約書の相談・質問集253 外国の判決が強制執行できるのはどういうときですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「外国の判決が強制執行できるのはどういうときですか。」というものがあります。

 

 例えば,英文契約書で準拠法(Governing Law)と裁判管轄(Jurisdiction)が外国とされている場合に,当事者間で紛争が生じ,相手方が外国の管轄裁判所に訴訟を提起し,勝訴判決を得たとします。

 

 この判決を根拠にして相手方が日本で強制執行をしようとする場合,どのような要件を充たす必要があるのでしょうか。

 

 当然といえば当然ですが,外国の裁判所の判決はそのまま日本で執行できず,以下の要件を充たした場合にはじめて執行できるということになっています。

 

 外国裁判所の判決を日本で執行するための要件は,日本の民事訴訟法に下記のとおり書かれています。

 

 1. 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。

 2. 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。

 3. 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。

 4. 相互の保証があること。


 よく問題になるのが,上記4の「相互保証」です。

 

 これは,簡単に説明すると,その外国で、その外国裁判所が下した判決と同種類の日本の判決があったとして,その日本の判決が上記の日本での判決執行の条件と重要な点で異ならない要件で効力を有していれば相互保証があるとされます。

 

 要するに,日本の判決もその外国で上記の民事訴訟法が定める条件と似たような条件で執行させてくれるとしているのであれば,その外国の判決も同様に日本で執行させてあげましょうということです。

 

 外国の判決を強制執行させてあげるのであればお互い様ということで,お互いに同じような条件で可能とされている場合に認めましょうというくらいに理解しておけば良いかと思います。

 

 過去の判例で,相互保証があるとされた国(州)は,カリフォルニア州,ハワイ州,ニューヨーク州,イングランド・ウェールズ,ドイツ,シンガポール,香港,韓国などが挙げられます。

 

 逆に,過去の判例で相互保証がないとされた国は中華人民共和国が挙げられます。

 

 せっかく判決が得られても執行対象になる当事者が属している国で強制執行ができないとなると判決が「絵に描いた餅」となり意味がないということはあります。

 

 このことは自社に有利にも不利にもなりますので,外国裁判所の判決が日本で執行できるかについては海外企業と契約する前に把握しておく必要があります。

 

 もし判決の執行が難しいと判明した場合は,ニューヨーク条約の加盟国であれば仲裁(Arbitration)の場合は執行が比較的容易とされていますので,裁判を前提にするのではなく仲裁を前提にするなどの対応が考えられます。

 

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