英文契約書の相談・質問集307 販売店が当局に登録される場合の注意点はありますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店が当局に登録される場合の注意点はありますか。」というものがあります。
中東や中南米の法律などが代表例なのですが,国の法律によっては販売店や代理店を保護する目的で制定された法律(「販売店(代理店)保護法」)が存在する場合があります。
この販売店保護法により,販売店や代理店が営業するには当局への登録が必要とされていることがあります。
登録されると販売店保護法によって販売店(Distributor)は手厚い保護を受けられることになります。
具体的には,メーカーによる契約終了には一定の猶予期間を設けなくてはいけなくなったり,終了させるには一定の金銭補償をしなければならないとされたりします。
法律で登録が強制されていると登録しなければならないことになりますが,登録する際に気をつけなければならない点がほかにもあります。
一般的に,販売店(Distributor)が当局に登録されると,登録を外す際にも販売店(Distributor)の同意・協力が必要になります。
そのため,例えば,メーカーが販売店(Distributor)のパフォーマンスが悪いとして,契約を解除して別の販売店を指名したいと考えたとしても,旧販売店が協力して登録を外してくれないと新たな販売店の登録ができないということが起こるのです。
こうした場面に備えて,販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)に,契約終了の際には販売店登録の抹消について協力し,新たな販売店(Distributor)を妨害しないと記載しておくほうが良いでしょう。
ただ,販売店(Distributor)と対立するような方法で契約を終了させた場合,契約書に協力義務が書かれていたとしても,協力してくれないこともあります。
それどころか,国によっては登録している旧販売店が,新たに登録しようとする販売店に対し登録の差し止めを行うことができるということもあります。
契約を終了させる場合は,後のことも考えて,あまり相手を怒らせるような方法では行わないことが大切です。
また,他の方法としては,契約書締結と同時に,予め販売代理店から販売店の登録を抹消するための同意書にサインをしてもらい,日付を空欄にした同意書を提出しておいてもらうということも考えられます。
なお,販売代理店が登録の抹消に協力してくれない場合には,販売店契約が終了したことを確認する判決書の写しを当局に提出すれば販売店登録の抹消ができるとされている場合もあります。
この場合は,契約書で契約の終了原因・解除事由などを明確に取り決めておくことが大切です。
そうでないと,判決で契約終了の確認を得ようとしても,終了原因が明確でなく,販売店契約終了の判決を得ることが難しいとなる可能性があるからです。
この点からも,契約書を締結せずに販売代理店指名をしたり,中途半端な内容で契約書を締結したりすることが危険であるかが理解できると思います。

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