英文契約書の相談・質問集261 販売店が契約違反をしたので解除したいのですが注意点はありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店が契約違反をしたので解除したいのですが注意点はありますか。」というものがあります。

 

 サプライヤーが販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結して販売店(Distributor)と取引を継続していると,いろいろな問題に遭遇します。

 

 例えば,販売店(Distributor)が指定された販売地域(Territory)外に商品を売っていたことがわかったり,予め合意した最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)を達成できなかったりという問題が生じることがあります。

 

 このような場合,販売店(Distributor)の契約違反のため,通常はメーカーは契約を解除できます。

 

 ただ,販売店(Distributor)の契約違反を指摘して契約を解除するという通知を淡々と販売店に送り,契約を終了させるというように簡単に事が運ぶかといわれると,そうでもないです。

 

 販売店(Distributor)にも言い分があるでしょうし,契約違反をした自覚があったとしても,突然これまでの関係をゼロにして,契約を解除するという措置に出られるとどうしても納得できないという反応になることもあります。

 

 現実的には,メーカーの商品の販売が売上の多くを占めているかもしれませんし,突如解除と言われたら倒産の危機に陥ることもあるかもしれません。

 

 そのため,通常は,解除通知書一本で一方的に終わりにするというよりは,契約終了について話し合い,販売店(Distributor)の合意を得た上でソフトランディングさせることになります。

 

 この際,契約違反をされたメーカー側は,当然交渉上優位にあります。

 

 そのため,メーカーとしては,しばらく取引を続けて相当期間経過後に契約を打ち切るとか,独占販売権を与えていたけれども今後は非独占販売権に変えるとか,販売店に提示できるいろいろな選択肢を持っています。

 

 これに対して,販売店(Distributor)は弱い立場にいます。契約解除を言われるかもしれないし,そうでないとしても信用されなくなったらいつか取引を打ち切られてしまうので,どうしてもメーカーに「お願い」するような立場になりがちです。

 

 ただ,メーカーが一つ注意しなければいけない点があります。

 

 それは,相手を刺激しすぎて喧嘩別れのようになった場合,販売店(Distributor)が自社が持つ在庫をたたき売りしたりして,メーカーの商品の流通価格やブランド価値を毀損してしまうということがありうる点です。

 

 契約終了時のメーカーの在庫買い取り権などを契約書に定めておけば,このような事態もある程度回避可能でしょう。

 

 ただ,そのような買い取り権を特に定めていないと,基本的に多くの国で,独占禁止法や競争法の規定により,販売店(Distributor)は自由に価格設定して商品を販売してよいことになっていますので,メーカーはたたき売りを止める手立てを持ちません。

 

 ですから,このような事態にならないように,丁寧に交渉し,場合によっては在庫を買い上げたりすることも視野に入れて,穏便に契約を終了させるのがベストといえるでしょう。

 

 また,例えば日本法が準拠法の場合,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などの継続的契約においては,債務不履行があったというだけのケースでは裁判で解除が認められないこともあります。

 

 継続的契約関係の維持に必要な信頼関係が破壊されたような場合や,重大な債務不履行によりやむを得ない事情があると認められるような場合でないと解除が認められないことがあるのです。

 

 こうした観点からも,安易に解除を通知して一方的に事態を収束させようというのではなく,問題点を指摘した上で交渉によりまとめることを第一に考えたほうが良いかと思います。

 

 例え最終的には販売店契約が解消されるとしても,途中で販売店(Distributor)が争って来て,紛争になること事態がメーカーにとって大きな損失になることを忘れてはいけません。

 

 それでは,ゴネ得ではないかと思われるかもしれませんが,販売店(Distributor)にも一応の言い分があることが多く,紛争状態になると時間を奪われ,多額な弁護士費用もかかったりします。

 

 こうしたことを回避するためには,ある程度相手の言い分も聞きつつ,理解を得て関係を終わりにする姿勢も大切だといえるでしょう。

 

 とりわけ,文化や考え方が異なる外国企業との取引ではそのようにいえると思います。

 

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