英文契約書の相談・質問集353 Shall notとmay notの違いは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Shall notとmay notの違いは何ですか。」というものがあります。
Shall notは,禁止を表しますので,「…をしてはならない」という不作為(何かをしない)の義務を定めるときに使用されます。
端的に禁止行為が書かれると理解していれば良いかと思います。
なお,英文契約書実務に携わる人の中にはshall not...よりもより明確な禁止表現として,is prohibited from...などの表現を好んで使用する人もいます。
これに対し,may notは,いくつかの解釈があり得るので絶対にそうとは言い切れないところがあるのですが,通常,mayは許可を表すものとして英文契約書で使用されるので,その否定形として不許可,つまり「…することができない」,「…する権利がない」という意味になります。
May notは「〜することができない」,「〜する権利がない」という意味で使用されますので,同義語としては,is not entitled to...やis not permitted to...があります。
ある条件を充たしたり,ある事象が起こったりした場合に,何らかの権利が生じる可能性がある(そう当事者が考える可能性がある)ときに,その権利は生じないということを明確にしておく際に,このmay notが使用されることがあります。
もっとも,shall notとすれば「…してはならない」という意味になるので,実質的には,shall notの「権利行使をしてはならない」という意味と,may notの「…する権利がない」というのは同じ意味と考えて差し支えないと思います。
権利がないというニュアンスが適切な場合があったとしても,その場面でshall notを使用しても,権利行使ができない,すなわち権利がないという意味であることは明らかですので,通常問題は生じないでしょう。
ただ,前述したとおり,mayはいろいろな意味をもっていますので,使い方を間違えると,当事者が意図していた意味で相手方が理解していなかったり,裁判所の解釈が異なってしまったりする危険があります。
そのため,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,なるべく一義的に意味が決まるような単語を使っていくほうが安全といえます。
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