英文契約書の相談・質問集271 直接損害と間接損害はどう違うのですか。

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「直接損害と間接損害はどう違うのですか。」というものがあります。

 

 直接損害は,英語ではDirect Lossと訳し,間接損害は,Indirect Lossと訳します。

 

 直接損害がどういうものか理解するには,日本法でいうところの「通常損害」(General loss or damage)と概ね同じだと理解すればわかりやすいかと思います。

 

 通常損害とは,その契約違反があったら通常常識的に考えてその損害が発生するといえるような損害をいいます。

 

 これに対し,間接損害とは,日本法でいうところの「特別損害」(Special loss or damage)に似ている概念です。

 

 特別損害とは,損害の発生に特別な事情が介在した結果,通常損害を超えて特別な損害が発生した場合の損害のことを指します。

 

 日本をはじめとして,多くの国では,通常損害(直接損害)については相手方に契約違反があれば通常賠償請求が認められます。

 

 因みに,日本では,契約違反による損害賠償責任が発生するには帰責事由(≒過失)が必要ですが,英米法では,過失は不要とされています。

 

 特別損害(間接損害)は,一応日本法でも英米法でも似たように考えることができ,一般に,特別事情が予見できた,または,予見すべきであった場合には賠償責任が認められます。

 

 ただし,予見できたかどうかの判断時は,英米法では,契約締結時であるのに対し,日本法では契約違反時なので,その点は注意して下さい。

 

 ところが,英文契約書では,しばしば後者の間接損害=Indirect Lossの賠償責任が免責されていることがあります。

 

 これは,間接損害は特別な事情が介在したことにより損害が拡大していることが多いので,その損害まで賠償するとなると,賠償請求を受ける側のリスクが大きすぎてビジネスにならないということがあるからです。

 

 ここで,具体的に理解するために,特別損害(間接損害)の例を挙げてみます。

 

 ある機械部品を売主が買主に販売した際に,買主がそれを別の機械に組み込んで転売しようと考えていたとします。

 

 普通に,部品を市場で転売すれば儲けは一つ50円だとします。

 

 ところが,買主が別の機械に組み入れた場合,その部品の付加価値があがり,100円で売れる(部品単体での付加価値の計算は難しいですがここでは便宜上こうします)とします。

 

 そうすると,もし売主が不注意で部品を壊してしまい売主に引き渡せないとなった場合,通常損害=直接損害(Direct Loss)は50円で,特別損害=間接損害(Indirect Loss)は100円ということになります。

 

 この場合,買主が100円の間接損害の賠償まで認められるかどうかは,買主が機械にその部品を組み入れて高値で転売を予定しているという特別の事情を予見できたかどうかにかかってきます。

 

 因みに,損害賠償を二重に受け取れるわけではないので,あくまで直接損害の50円止まりとなるのか,それとも間接損害の100円の賠償を受けられるのかのどちらかだと理解して下さい。

 

 以上のように,直接損害と間接損害は損害の考え方が異なっていて,間接損害が認められるには直接損害よりも要件が厳しいのが一般的です。

 

 また,英文契約書で,間接損害の賠償は免責されていることが多いので,その点にも注意が必要です。

 

→next【英文契約書の相談・質問集272】契約内容と準拠法の関係はどう理解すべきですか。

 

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