英文契約書の相談・質問集272 契約内容と準拠法の関係はどう理解すべきですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約内容と準拠法の関係はどう理解すべきですか。」というものがあります。

 

 英文契約書には,必ずと言ってよいほど,準拠法(Governing Law)条項が挿入されています。

 

 これは,その英文契約書に関して紛争が発生したような場合に,その紛争に対してどの国の法律を適用して解決するのかについて定めたものです。

 

 例えば,準拠法条項が「本契約は日本法に準拠し,日本法に従って解釈されるものとする。」と定めていれば,その契約に関して何か争いが起きた場合や,契約の解釈をめぐって法律を参照する必要がある場合は日本法が適用されることになります。

 

 では,この「契約に日本法が適用される」という実際上の意味はどういうことでしょうか?

 

 基本的に,日本やその他の先進国では,「私的自治の原則」「契約自由の原則」というものがあり,当事者の合意が尊重される傾向にあります。

 

 そのため,日本法の下でも,基本的には,法律ではなく契約書の内容がまずは優先されます。

 

 つまり,準拠法を日本法と定めていて,契約書で定めた内容と日本法の内容が矛盾するときは,契約書の内容が優先されて適用されることになります。

 

 準拠法を定めたといっても,契約内容にかかわらずその法律を常に適用するということにはならないのです。

 

 ただし,これには例外があります。それは,準拠法とされた法律が当事者の合意である契約書に優先して適用されることがあるのです。

 

 こうした法律は「強行法規/強行規定」と呼ばれる法律で,例えば,労働法など労働者を守るための法律などがこれにあたります。

 

 国際取引で,特に契約書という合意に優先して適用される可能性がある法律として注意したほうが良いのは,販売店(代理店)保護法,競争法・独占禁止法,賄賂防止法,個人情報保護法などが挙げられます。

 

 基本的に,当事者の自由に任せていると弱者が虐げられたりと何らかの社会・経済的不都合が生じるために,法律が介入して強制的にテコ入れをしていると考えるとわかりやすいでしょう。

 

 また,具体的な法律ということではなくとも,裁判などによって,契約内容に制限が加えられたり,契約の一定の条項が無効になったりすることももちろんあります。

 

 以上のとおり,準拠法を定めたとしても,基本的には契約書の内容のほうが優先されるのが原則であるものの,場合によっては強行法規/強行規定や裁判所の判断により契約書の内容が修正されることがあると理解しておくと良いかと思います。

 

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