英文契約書の相談・質問集273 当社のドラフトを大量に修正してくる相手は信頼できませんか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「当社のドラフトを大量に修正してくる相手は信頼できませんか。」というものがあります。
結論から申し上げると,そんなことはありません。
自社が作成したドラフトを相手方が大量に修正してくるということは,契約書を重視してる証拠でもあります。
基本的に,自社が作成するドラフトは自社に有利にできています。
このときに,ある程度自社に有利であっても,それなりにフェアな内容で,相手にとって受け入れがたいような不利益な内容は書かれていないということであれば,相手側もそれほど修正を入れてこないでしょう。
これに対し,自社に有利すぎるドラフトを提示した場合に,相手方が大量の修正を入れてきたということは,締結した契約書の内容を守るつもりがあるからこそ,守れない内容について削除や修正を入れてくると考えることができます。
むしろ,契約書を軽視している当事者の場合,契約書の内容がどうであれ,内容を精査せずに適当にサインをしてくるという傾向にあります。
こういう企業は,いざトラブルになったときに,契約書の内容を無視した主張をしてきたり,契約書の効力を何らかの理屈で否定する主張をし,好き勝手な要求を繰り返したりする可能性が高いです。
そのため,自社のドラフトの内容をきちんと精査し,飲めない箇所については修正を施して先方の要求をはっきりと伝えてくるという姿勢は,契約を尊重するコンプライアンス精神の高い企業だと評価できます。
もちろん,修正内容が一方的に相手に有利であったり,修正の理由が不合理であったりすれば,話は別ですが,相手の立場からすると理があるという内容の修正をしてくるのであれば,むしろ信頼関係を築きやすい取引先である可能性が高いといえます。
このように,自社の要求をそのまま受け入れるからといって,信頼できる相手だということにはならず,むしろ,長期的にお互いの利益になるように契約内容を精査する企業の方が信頼できるということはよくありますので,注意されることをおすすめします。
人間関係でも,表面上はごますりをして,良い顔をしているけれども,いざトラブルになったときは,手のひらを返したように自分の都合ばかりを押し付けてくるという人がいると思います。
企業同士の関係でもこれに似たところがあります。契約書の段階では「我々はすべて御社の都合に合わせます」などと言っていると,いざ問題が起きたときに態度が豹変するということはやはりあります。
そうした態度を取ってくるよりは,主張すべきことはきちんと主張し,最初から正直に接してくれる企業のほうが信用に値するということはよくあることですので,理解しておくと良いでしょう。
自社の言い分をすべて聞き入れてくれる企業の方が付き合いやすいと感じるかもしれませんが,あくまでそれは最初の段階だけかもしれませんので,相手の信用度を見誤ることのないように十分注意して下さい。
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