英文契約書の相談・質問集274 英語サイトでネット販売をする際の注意点は?

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英語サイトでネット販売をする際の注意点は?」というものがあります。

 

 まず,インターネット販売をする場合は,日本では景品表示法(景表法),特定商取引法や消費者契約法などの特殊な法律に注意すると思います。

 

 こうした法律に注意すべきということは海外でも同じです。例えば以下のような点に注意が必要です。

 

 世界の共通言語ともいえる英語のウェブサイトを作成し,そのサイト上でネット販売をする場合,海外の顧客がサイトを利用し商品を購入する可能性があります。

 

 そうすると,現地のネット取引に関する特殊な法律が知らない間に強制的に適用され,広告規制に違反するとか,消費者保護に関する法律に違反するとか,当該商品を販売するには当局による許認可が必要であるとか,思わぬ規制を受けたり,法律違反をしたりしてしまう可能性があります。

 

 また,知的財産権にも注意が必要です。知的財産権の保護は,基本的に各国の制度によってなされています。

 

 そのため,例えば,日本国内で商標登録していても,外国ではすでに第三者に類似商標登録されているということがありえます。

 

 こうした状況で,日本企業が自社登録の商標を使って英語のウェブサイトを作成してネット販売しているような場合,外国での商標権侵害に当たるとして訴訟をされるようなことも考えられます。

 

 仮に日本企業が意図していなくとも,ネット取引は海外顧客との間でも成立するので,ある国の多くの顧客が注文をしてきたということになれば,その国への意図的な接触行為があるとして,その国の商標権者による差止請求や損害賠償請求が認められる可能性が出てくるのです。

 

 このように,インターネット販売では,自社が意図していなくとも,マーケットが一定の外国や世界中に広がることが考えられ,それによる意図しないトラブルが起こる可能性があるのです。

 

 とはいえ,全世界の法規制に適合したウェブサイトを用意し,全世界の規制に沿った運用をするなど事実上不可能です。

 

 現実的には,せいぜいターゲットとしている主要な国の関連する法律を事前に調査してそれらに適合したウェブサイトの仕様とし,知的財産権の調査と登録をしておくというくらいが対策として限界でしょう。

 

 逆にいえば,海外顧客もターゲットとしたインターネット販売をするのであれば,この程度の対策は必須でしょう。

 

 また,万一顧客とトラブルになったときなどのために,準拠法: Governing Law(紛争時にどの国の法律を適用するか)と,紛争解決: Dispute Resolution(紛争時にどの国のどの機関(裁判所か仲裁機関かなど)を使いどの地で解決するか)のルールをウェブサイトに表記しておくなどの対策も必要です。

 

 これらの対策は決して完璧とはいえませんが,完璧を目指すことは無謀ですし,完璧にならないとインターネット販売をしないということでは,ビジネスチャンスを逃してしまいます。

 

 現地の弁護士に相談するなどしながら,メインターゲットとなる市場における必要最低限の対策を施しつつ,積極的にネット販売での収益を狙うのも事業拡大を目指すには良策の一つといえるでしょう。

 

 海外展開での法務対策は100点を目指すと時間とお金がいくらあっても足りないということはよくあるので,海外の弁護士とも相談しながらできる範囲内でベストを目指すという姿勢も大切です。

 

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