英文契約書の相談・質問集275 販売代理店の販売不振を理由に契約を解除できますか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売代理店の販売不振を理由に契約を解除できますか。」というものがあります。

 

 

 日本企業がサプライヤーとして,商品の海外での販売展開を企図した際によく使う手法が海外の販売代理店を使って,現地で販売展開する方法です。

 

 

 この際,サプライヤーと現地の販売代理店との間で,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)が締結されます。

 

 

 ところが,時間が経つと,サプライヤーが販売代理店のパフォーマンスに不満を感じるようになり,販売店契約を解消して新しい販売代理店を指名したいと考えるようになることがあります。

 

 

 このような場合に,販売代理店の販売不振を理由に販売店契約を解消することはできるのでしょうか。

 

 

 まず,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)が法的義務(legally binding)として記載されている場合,その数量未達の事実があれば,契約を解除を主張できる可能性が高くなります。

 

 

 明確に,数量や金額で一定期間のノルマが課されていて,それに到達できなければ,サプライヤーは契約解除ができると契約書に記載しておけば,契約解除による販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了を主張しやすくなります。

 

 

 独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)ではよくこのミニマム・ノルマ条項が定められますので,販売店契約の解消は比較的進めやすいといえるでしょう。

 

 

 次に,このような最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)の定めがない場合はどうでしょうか。

 

 

 明確なノルマ条項がない場合は,契約書に予測や努力目標として,注文数や注文金額が定められていないかを確認しましょう。

 

 

 前述のような法的義務としての最低購入数量ではなくても,法的義務のないnon-binding forecast(非拘束的予測)として注文目標が契約書に書かれていることがあります。

 

 

 もしこれが書かれていれば,法的義務ではないにせよ,何回か予測値の未達があるような場合,契約更新をしない理由にして次回の契約期間満了時に更新しないとして交渉を有利に進めるということがありえます。

 

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,通常,販売代理店の販促活動について努力義務が課されています。

 

 

 例えば,best efforts(最善努力)やcommercially reasonable efforts(商業的合理的努力)というように販売代理店がしなければならない販売努力の程度が書かれています。

 

 

 これに販売代理店が違反したかどうかは,程度問題なのでなかなか主張するのが難しいのですが,上記の予測値を下回っているのであれば,これらの努力義務を怠ったと主張するのに役に立つ可能性があります。

 

 

 そのうえで,契約解除などを主張すれば,次の契約更新時期を待たずとも契約を解除する方向で交渉することが可能になるかもしれません。

 

 

 なお,上記のように販売代理店の非を探して契約解除を主張しなくとも,契約書に中途解約条項(Termination without Cause Clause)があれば,特に理由がなくても契約を途中で解約することができるかもしれません。

 

 

 ただ,販売代理店がこのような条項をそもそも入れさせてくれるかという問題がありますし,仮に契約書に記載があったとしても,素直に販売代理店が理由もない中途解約に従ってくれるとは限りません。

 

 

 さらに,現地に代理店保護法のような法律があり,中途解約条項などの有効性が制限される可能性もあります。

 

 

 そのため,サプライヤーにとって有利な条項があればそれに全面的に依拠するのが常に正しいとは限らないです。

 

 

 例えば,中途解約条項があるからといって,簡単にその条項を使って契約期間の途中で販売代理店に対し何の理由も示さずにいきなり契約を解除すると通知した場合,販売代理店の反発を招きやすいといえるでしょう。



 これに対し,中途解約条項はあるものの,それだけを根拠にするのではなく,販売代理店の債務不履行を指摘しつつ,債務不履行解除や中途解約条項による解除が可能なことを示しつつ,合意解除に応じてもらうよう交渉するという姿勢を取れば,相手の納得を得られやすいかもしれません。

 

 

 あくまで,販売代理店の納得も得るように,より説得的な契約解消の筋道はないかを考えることも,円満な契約解消には必要なことがありますので,注意して下さい。


 

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