英文契約書の相談・質問集276 Andとorの違いを教えて下さい。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Andとorの違いを教えて下さい。」というものがあります。

 

 意外と,andとorを明確に区別して使い分けたり,理解したりするのは難しいものです。

 

 肯定文と否定文に分けて理解すると理解しやすいかと思います。

 

 まずは肯定文の場合です。

 

 Andは,1組,1式,1まとまりという意味を表しています。(これは否定文でも同じです。)

 

 よく英文契約書でandが登場するパターンは,ある用語の定義があって,それに含まれる事例をたくさん挙げるときです。

 

 例えば,Force Majeure(不可抗力)の条項に,不可抗力事由はいかを含むがこれらに限られない(including but not limited to)として,たくさん例を挙げて,最後andでくくります。

 

 これにより,例として挙げられたA, B, C, and Dすべてが1組としてForce Majeureに含まれるということを表します。

 

 これがorになると,どれかを含むということになり,2つ以上を同時に含むのかどうかよく分からなくなってしまいます。

 

 上記の不可抗力条項では,不可抗力の例として挙げられている事由をすべてまとまって含むということを言っているのでここではandが正しいことになります。

 

 逆に,英文契約書でorがよく使われるのは,契約の解除事由を挙げるときです。

 

 この場合,挙げられた事由のどれか一つにもで該当すれば解除ができるとしたいので,orが使われます。

 

 ここでandを使ってしまうと,挙げられたA, B, C and Dのすべてに該当しないと解除権が発生しないという意味になってしまい,適当ではありません。

 

 次に否定文です。

 

 否定文の場合,orから理解したほうが理解しやすいかもしれません。

 

 Orが否定文で使われた場合,一つ一つすべてを否定することになります。

 

 例えば,I do not like A or B.という表現の場合,AもBもどちらも好きではないという意味になります。

 

 AかBのどちらかを好きではないという意味ではなく,AとBの両方を好きではないと否定しているわけです。

 

 逆に,andの場合,I do not like A and B.となりますが,この場合は,AとBが組み合わさった場合にその2つの組み合わせが嫌いということを言っています。

 

 つまり,andを使った表現の場合,A単独でも嫌いなのか,B単独でも嫌いなのかはわかりません。

 

 このように,andはまとまりの1組を表して,orは一つ一つを表すと理解すると理解しやすいかと思います。

 

 因みに,このどちらにも対応したいときにする表現として,and/orという表現も見かけます。

 

 これは肯定文で使われた場合,まとめても当てはまるし,一つ一つでも当てはまるということになります。

 

 例えば,Force Majeureの例なら,A, B, C and/or Dとなり,これら単独でもForce Majeureに該当するし,全部を含むという意味でもあるということを言っていることになります。

 

 否定なら,I do not like A and/or B.となり,AとBの組み合わせも好きではないし,AやB一つ一つでもそれぞれ好きではないということを表していることになります。

 

 ある意味「逃げ」のような表現ですが,英文契約書ではよく見かけますし,使ってはいけないということではないと思うので,知っておくと良いかと思います。

 

 ちなみに,A and/or Bを和訳するときは「A及び/又はB」などとしています。よくわからない訳ではありますが,意味としては上述したとおりとなります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集277】ベトナム企業と取引する際の準拠法と紛争解決はどうすべきですか。

 

IMG_6603 resized 2.jpg

 

 英文契約書に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。

 

 正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。

 

 原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。

 

 

お問合せ・ご相談はこちら

 お問合せフォーム・電話・メールでお問合せ頂けます。

 お問合せフォーム・メールでのお問合せがスムーズです。

 

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-6453-6337

担当:菊地正登(キクチマサト)

受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝日

※契約書を添付して頂ければ見積回答致します。
受付時間:24時間

 英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェック(全国対応),実績多数の弁護士菊地正登です。弁護士21年目(国際法務歴14年),約3年間の英国留学・ロンドンの法律事務所での勤務経験があります。英文契約・国際取引の専門家として高品質で迅速対応しています。お気軽にお問合せ下さい。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

03-6453-6337

<受付時間>
9:00~18:00
※土日祝日は除く

弁 護 士 情 報

弁護士  菊  地  正  登
片山法律会計事務所

東京都港区芝5-26-20
建築会館4F
tel: 03-6453-6337
email: kikuchi@mkikuchi-law.com

片山法律会計事務所

住所

〒108-0014
東京都港区芝5-26-20
建築会館4F

アクセス

都営三田線・浅草線三田駅またはJR田町駅から徒歩約3分です

受付時間

9:00~18:00

定休日

土日祝日

 弁護士インタビュー動画

書  籍

士業・翻訳業者・保険会社・金融機関の方へ

各士業の先生方,翻訳業者,保険会社,金融機関のお客様の英文契約書に関する案件についてお手伝いさせて頂いております。

ご紹介頂いたお客様の初回相談料は無料ですので,お気軽にお問合せ下さい。

ご相談方法

メール・電話・Web会議・対面の打ち合わせによる対応を行っております。

サイト内検索 - 英文契約書用語の検索ができます -