英文契約書の相談・質問集322 Notwithstandingの使い方を教えて下さい。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Notwithstandingの使い方を教えて下さい。」というものがあります。
Notwithstanding…の和訳は「…にもかかわらず」となることが一般的です。
実質的な意味としては,Notwithstanding…の…の部分の効果を打ち消すという点にあります。
Notwithstanding the aboveとあれば,「上記にもかかわらず」という和訳になり,意味としては,上記の内容の効果を否定し,その後書かれる文章の効果を肯定する(上書きする)ということになります。
そのため,Notwithstanding...のあとに来る本文は,「…」の部分の内容と一見矛盾する内容が書かれていることが多いです。
Notwithstanding…という表現がないと,…のあとに書かれている文章が一見して他の条項と矛盾するように読めるため,念のため,…の部分の効果を打ち消しておくという機能があるわけです。
そして,この表現の究極系ともいうべき表現がNotwithstanding anything in this Agreement to the contraryです。
これは,「本契約にこれと異なる定めがあっても」と訳され,要するに,本契約上の他のどの条文にも優先して,...contrayのあとに来る文章の内容が適用されるということが言いたいわけです。
このように,Notwithstanding…という表現は,その後に来る文章の内容と一見矛盾する内容の効果を打ち消して,あとに来る文章の効果を認めるという機能を果たします。
ということは,同一契約書内に,読んでいて矛盾するように読める内容が一切ないという場合には,このNotwithstandingという表現は必要ないということになります。
そのような契約書が「理想」ではあるかもしれませんが,実務的にはこのNotwithstandingという表現は,「念のため」ということもあり,よく使われています。
以上説明したとおり,このNotwithstandingが登場した場合,そのあとに書かれる文章の効果が適用されるということを強調しているはずですので,内容は重要なものになります。
そのため,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,Notwithstandingという用語に着目しているとメリハリが付けられると思います。
→next【英文契約書の相談・質問集323】利益相反・コンフリクトとは何ですか。
英文契約書に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。
正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。
原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。