英文契約書の相談・質問集278 販売店契約の場合サプライヤーに受注義務がありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店契約の場合サプライヤーに受注義務がありますか。」というものがあります。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)は,サプライヤーが現地で販売店を指名して,販売店が販促費用を負担してサプライヤーの商品を現地で販売展開するというものですので,販売店のコミットメント度合いが高い契約です。

 

 そして,この販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を基本契約として,注文と受注がある度に個々の商品の売買契約が成立していきます。

 

 この場合に,販売店(Distributor)が行った注文をサプライヤーが断ることはできるのかというのがここでのテーマです。

 

 一般的には,販売店(Distributor)の注文が常識的・合理的な範囲内であれば,サプライヤーは注文を拒絶できないと考えられます。

 

 なぜなら,販売店(Distributor)はリスクを取って,自ら費用負担をして販促活動品を拠出して商品の販売活動を行っているのに,サプライヤーが商品の供給を不当に拒絶しては,ビジネスの目的を達しえないからです。

 

 ここで,販売店(Distributor)の注文が「合理的期間内であれば」ということの具体的な意味が問題になります。

 

 これは,これまでの注文や商品の性質などに照らして,特に非常識な量などを発注するということではなく,慣行の範囲内の常識的な注文であれば,サプライヤーは拒否できないと理解すれば良いかと思います。

 

 商品のリードタイムからありえない量の注文がされたりということがない限りはサプライヤーは注文に応じる必要があるということです。

 

 ただ,このようにサプライヤーに受注義務が生じるかどうかは,実際には準拠法の内容などによって左右されるため,このことを英文契約書に明記することもよくあります。

 

 例えば,やや抽象的な表現にはなりますが,「販売店(Distributor)の注文にサプライヤーは応じなければならない義務はないけれども,サプライヤーは不合理に販売店(Distributor)の注文を拒否してはならない」などと契約書に定めることがあります。

 

 このように明記したほうが,お互い誤解をすることなくスムーズにビジネスを進めることができるので,できるだけ書き込むことをおすすめします。

 

 なお,上記とは反対に,販売店(Distributor)のほうが注文義務を負うかについては,否定的に考えておいて良いかと思います。

 

 そのため,販売店(Distributor)に購入義務を課したい場合は,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)などを契約書に明記して義務化しておく必要があります。

 

 特に,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)においては,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)を定めないと,注文が全然なくて契約期間が満了してしまうという事態になりかねないので十分に注意してください。

 

 独占販売代理店契約の期間中は,サプライヤーは他の販売代理店をその地域内で指名できませんし,自ら直販することも禁止されていることが一般的ですので,契約期間中に注文がないとか少なすぎるということになると,サプライヤーが大きな機会損失を被ってしまうことになります。

 

 中には,サプライヤーの競合他社の製品を売るのを妨害されないために,販売代理店が最初から故意に独占販売権を取得し,当該サプライヤーの商品は全く売らないとか,売ってもごく小ロットしか売らないなどという事例もあります。

 

 こうしたことを防ぐためには,サプライヤーは最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)などを販売代理店に対し義務付けておく必要があります。

 

 まとめると,サプライヤーにしても販売代理店にしても,お互いの義務が明確になるように,受注義務や注文義務について契約書に明記しておくのがベストだということになります。

 

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