Contingency fee(英文契約書用語の弁護士による解説)
海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Contingency feeがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「成功報酬」という意味で使用されます。
弁護士との委任契約(Engagement Letter)などで,成功報酬制を採用するような場合に,このcontingency feeという用語が登場します。
Contingency fee(成功報酬)というのは,例えば,裁判で1,000万円を請求したところ,勝訴判決を得て,800万円勝ったとしたら,800万円の何割かに相当する金額の報酬を得るというような報酬の決め方をいいます。
逆に,成功報酬のケースで,1,000万円請求したもののあえなく全部請求棄却となって敗訴してしまった場合,報酬金はゼロということになります。
成功した(勝訴した)金額を基礎に報酬が決められるので,「成功」報酬というわけです。
成功報酬に対置される概念としては,hourly rate(時間制報酬)があります。
こちらは,1時間あたりいくらという決め方で,業務受託者がその案件で稼働した時間に比例して費用が発生するものです。
前述したcontingency fee(成功報酬)とは異なり,成功(勝訴的和解や勝訴)したかどうかは関係なく,単純に受任者がその案件に対し消費した時間を基準に費用が決まります。
ちなみに,海外の弁護士は圧倒的にHouly rate(時間制報酬)で費用を決めることが多いです。
その案件で動いた時間が費用になるというのはわかりやすいですし,決め方もフェアと言えるので世界で広く受け入れられているのだと思います。
弁護士側からすると,contingency fee(成功報酬)のように,案件に比して金額が少なすぎて大きく損をしたり,逆に案件に比して成功報酬額が高くて大きく儲かったりするということはなく,報酬を計算しやすいというメリットがあるでしょう。
ただ,この場合,弁護士が動けば動くほどお金がかかりますから,依頼者からすると,事前にどの程度の稼働時間を見積もっておくべきかとか,どの程度動いてもらうべきかなどがよく問題になります。
クライアントからすれば,案件の金銭的な価値よりも弁護士の稼働時間=報酬が高くなる見込みが高ければ,費用倒れになるため,少なくとも経済的な観点からは依頼する意味はないということになります。
委任契約などで費用や報酬の決め方は非常に重要な要素なので,どのような計算方法に基づいて発生するのかを事前に精査する必要があります。