Compensatory damages(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Compensatory damagesがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「填補損害賠償」という意味で使用されます。
簡単にいうと,相手方当事者の契約違反などにより自社がマイナスを受けた金額の賠償のことをいいます。実際に自社が受けた損害のことを指しているわけです。
例えば,イベントの出演契約などで,出演者がイベントをできるように会場を押さえ,会場を設営したのに,当日出演者が来なかったなどというときに,支出した会場費や設営費がマイナスになってしまいます。
また,チケットも払い戻しになるとその分もマイナスになってしまいます。
これらの損害を補填する損害賠償のことをConpensatory damages(填補損害賠償)と呼んでいます。
通常の損害賠償の概念なので理解しやすいかと思います。
これとよく対置される概念として,Pumitive damagesがあります。これは「懲罰的損害賠償」と訳されます。
こちらは,実際に当事者がマイナスとして蒙った損害の賠償を指しているのではなく,民事上の罰金のような性質のもので,当事者の損害とは異なる別の損害賠償のことを指しています。
日本では,懲罰的損害賠償は認められていませんので,損害賠償請求をする際には常にCompensatory damagesのほうが問題になります。
アメリカの州の中には,Compensatory damagesのほか,Pumitive damagesについても認めているところがあります。
このように,一口に損害賠償(Damages)といっても,国の法律・制度によって,どのような損害が賠償の対象になるのかはまちまちになります。
そのため,国際取引においては,準拠法がどこの国の法律になっているのかをきちんとチェックし,その国の法律・制度がどのような損害賠償を認めているのかも知っておく必要があるといえるでしょう。