英文契約書の相談・質問集290 販売店に在庫をダンピングされないためにはどうすべきですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店に在庫をダンピングされないためにはどうすべきですか。」があります。

 

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)が終了した場合,通常,販売店(Distributor)は,契約書の内容で,商品の販促活動や販売活動が禁止されることが通常です。



 また,販売店契約が終了した場合,販売店(Distributor)がサプライヤーの商標やロゴを使用することも一般的に契約書で禁止されます。



 なお,仮に契約書に上記のように契約終了時に在庫品がどう扱われるか,つまり販売店(Distributor)が在庫商品を売り続けて良いかどうかについて何も記載がなければ,継続して販売できると販売店(Distributor)から主張される可能性があるのでサプライヤーは注意しましょう。

 

 

 このように,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了の直前期に販売店(Distributor)が在庫を持っていた場合,これをどうするかは重要なテーマの一つになります。

 

 

 販売店(Distributor)は,契約終了時に在庫を抱えていても廃棄しなければならず,損失を招くだけですので,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)が終了する直前に,「ダンピング」をして在庫をさばくという選択をすることがあります。



 「ダンピング」は本来はいわゆる「不当廉売」を意味し,独占禁止法により規制されている概念なのですが,ここでは,一般用語として使われている「不当な安売り」程度の意味で使用しています。

 


 このダンピングをされるとサプライヤーにとっては大きな打撃になる可能性があります。

 

 

 特に商品がハイブランド品で,アッパー層の顧客がターゲットだったりすると,ダンピングにより商品価格が値崩れを起こし,ブランド価値が大きく毀損されるおそれがあります。

 

 

 そのため,サプライヤーとしては,販売店(Distributor)によるダンピングはできるだけ防止したいところです。

 

 

 では,どのような方法がありうるでしょうか。

 

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に,端的に「ダンピングしてはならない」ということを禁止事項として規定するということが考えられます。

 

 

 しかしながら,これは競争法独占禁止法や競争法(Competition Law)により,再販売価格の指定として禁止されている可能性が高いです。



 ややこしいですが,ここではダンピング自体に対する独占禁止法の規制の話をしているのではなく,サプライヤーが販売店(Distributor)に対して「安価で商品を売るな」と命令を出すことが再販売価格の指定として独占禁止法上で禁止されるという意味です。

 

 

 なぜこのような行為が禁止されるかというと,小売価格などをメーカーが強制できるとなるとマーケットの公正な競争が阻害され,資本主義の原則に反するからです。

 

 

 そのため,ダンピングを禁止するというような条項を契約書に規定することは回避しなければなりません。

 

 

 では,他にどのような方法が考えられるでしょうか。

 

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)終了時に在庫があった場合,販売店(Distributor)が在庫を一定期間販売できると定めるという方法が考えられます。

 

 

 契約終了後も半年間は,終了前と同一の条件で在庫販売が可能と定めれば,販売店(Distributor)としては,契約終了がわかってからあせって契約終了間際に商品を安売りしなくとも在庫をさばける可能性が高まりますので,ダンピング予防策として一定程度機能すると思われます。

 

 

 また,他にも,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)終了時に在庫が残っている場合は,サプライヤーが買い取ることができると定めることが考えられます。

 

 

 これにより,サプライヤーは在庫を買い取ることができますので,早めに買取り権行使を販売店(Distributor)に告知することで,販売店(Distributor)のダンピングを抑止することができます。

 

 

 この点,あくまで買取り権という「権利」で定めることがポイントで,サプライヤーの「義務」として定めないほうが良いでしょう。

 

 

 義務として定めてしまうと,販売店(Distributor)が契約終了時に在庫が残っていてもサプライヤーに買い取ってもらえる(販売店にとって在庫を出しても損失が出ない)ので,積極的に販売活動をするインセンティブが失われてしまいかねないためです。

 

 

 さらに,契約終了時の在庫品の状態が良好な状態な場合にのみ,買い取ることができるとしておいたほうが良いかと思います。

 

 

 もちろん,サプライヤーの買取り権として規定しているので買い取らなければならないわけではないのですが,あくまで良好な状態の商品が残った場合のみ買い取りの対象になるとしておかないと,販売店(Distributor)が過剰な期待や要求をしてくる可能性があるからです。



 なお,上記はサプライヤーが自分で在庫を買い取ることを想定していますが,中には,サプライヤー自身が買い取るのではなく,サプライヤーが指定する第三者(通常はサプライヤーが新たに指名する販売代理店)に買い取らせる権利があると契約書に規定することもあります。



 こうすることで,新たな販売代理店がスムーズに旧販売代理店の在庫を引き継ぎ,商品の販売展開を今後していくということが可能になります。

 

 

 もちろん,上記の対策を組み合わせて,サプライヤーが在庫買取り権を行使しなかった場合,販売店(Distributor)が引き続き一定期間在庫を販売できると定めることも可能です。



 以上が,販売店(Distributor)のダンピング対策になります。

 


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