英文契約書の相談・質問集293 英文契約書と和文契約書の根本的な違いは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書と和文契約書の根本的な違いは何ですか。」というものがあります。

 

 言うまでもないですが,英文契約書は英語で書かれている一方,和文契約書は日本語で書かれていますから,作成に使用されている言語が異なります。

 

 しかし,言語が異なるという以上に根本的な相違が両者にはあります。その点について解説したいと思います。

 

 この点,英文契約書は,基本的に英米法(コモン・ロー)の概念や考え方が基礎になって作成されていることが多いです。

 

 これに対して,和文契約書は,日本法の考え方に従って作成されているのが普通です。

 

 これが根本的に異なる点です。英米法に従って作られた英文契約書は,理由は色々あるのですが,長文であるという傾向があります。

 

 理由の一つとしては,英米法は,裁判所が具体的な事例において判断を示すという判例法で法体系ができあがってきたという歴史があるので,どういう場合にどのような結論になるのかがそれほど明確でないという特徴があることから,当事者が事細かに条件を取り決めることになり長文となるということが挙げられます。

 

 これに対し,日本法は大陸法の法体系に分類され,議会の制定法によって体系的にルールを制定する傾向にあるということと,日本の信頼関係を重視するという文化的な要素も相まって,和文契約書は短い傾向にあります。

 

 これらの違いから,英文契約書を和訳して契約書にすると,日本企業には長すぎて意味がわからないとなったり,逆に,和文契約書を英訳して契約書として使おうとすると短すぎて何も決めていないに等しいとして外国企業に拒絶されたりということが起こります。

 

 このように,英文契約書と和文契約書はその背景にある法体系や考え方の相違から,単に言語を置き換えても使えるようにならないということがよくあることを理解しておく必要があります。

 

 なお,英文契約書を和訳して契約書として使おうとすると,前述のように長文がゆえに意味不明であるとして,相手の日本企業から内容を簡略化するよう求められることがあります。

 

 ただ,英文契約書がMaster Agreement(マスターアグリーメント)となっており,海外本社の意向により,和訳の内容が英文契約書の内容と相違してしまうような変更はできないこともあります。

 

 このように,英文契約書と和文契約書の性質の違いから簡単に両者の言語を置換して使用できない場合があるので,なるべく原文を契約書として使用し,訳文はあくまで参考資料として添付するに留めるなどの工夫も必要となる場合があります。

 

 なお,この場合は,言語条項(Language Clause)を契約書に挿入し,あくまで法的効力を有するのは原文の言語で作成された契約書で,その他の言語については参考までに添付された訳文に過ぎず法的効力はないということを確認しておきましょう。

 

 ただ,必ずしも訳文を契約書として使用することが問題であるということではないと思っています。

 

 例えば,準拠法を日本法としつつ,和文契約書を英訳して英文契約書として使用する場合,英米法を背景にする契約内容にするより,準拠法が日本法である以上は日本法に従って作成したほうが妥当であるともいえます。

 

 また,準拠法が日本法になっているのに加えて,裁判管轄が東京地裁とされている場合も,日本の裁判は日本語でしかできないため,結局は契約書を和訳して証拠として提出することになります。

 

 この場合,もともとの和文を出せば済むことになるので,この点でも適切かと思います。

 

 実際,とりわけ相手が英米法圏の国の企業ではない場合,日本語の契約書を英訳した契約書でも受け入れられることがあります。

 

 そのため,準拠法次第では,あえてオリジナルを母国語で作成してそれを相手が理解できる別の言語に置換して契約書を作成するという方法もあながち誤りではないといえます。

 

→next【英文契約書の相談・質問集294】英文契約書のドラフトのやり取りでの注意点は何ですか。

 

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