Indebtedness(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Indebtednessがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「負債(額)」という意味で使用されます。
このindebtednessという用語が英文契約書中でよく使われるのは,期限の利益の喪失条項(feiture of benefit of time clause)においてです。
債務者が弁済金の支払いを期日までにしなかった場合は,残債務(indebtedness)の弁済期が一度に到来して,残り全額を全額直ちに支払わなければならないという内容が期限の利益の喪失条項と呼ばれるものです。
支払債務に弁済期日が設定されている場合,通常であればその日までに支払いをすれば問題ない(遅延損害金がつかない)です。
支払い期限があるのですから,言わば当然のことです。
期限までに債務を支払えばペナルティなど課せられないというのは,債務者に有利ですので,これを債務者に「期限の利益」があると言います。
ただ,期限の利益の喪失条項があると,返済期日を過ぎてしまった場合,その他の債務の弁済期日も全部到来し,すべてを支払わなければならなくなり,そこから債務の支払いを怠ると,遅延損害金がつくということになります。
例えば,50回の分割払いであったところ,10回目の返済期日に支払わずに期限が過ぎてしまったら,その後41回の分割払いはもはやできなくなり,残債務41回分すべてを一気に支払う必要があるということです。
そのため,このindebtednessという用語が出てきたら,金銭債務の取扱いについて書かれているという前提に立ち,その条項の内容を審査する必要があります。