英文契約書の相談・質問集297 取引自体を断ったほうが良い場合はありますか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「取引自体を断ったほうが良い場合はありますか。」というものがあります。

 

 

 例えば,日本企業がサプライヤーとして,海外の企業を販売店(Distributor)に指名して現地で自社商品を販売展開したいと考えたとします。

 

 

 この場合,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)締結に向けて交渉をするわけですが,あえて契約を締結せずに取引を断ったほうが良いという場合はあるのかというのがこの記事のテーマです。

 

 

 契約書は,その内容についてお互いがそれなりに譲歩をして最終的には調印に至ることが多いです。

 

 

 そのため,お互いが譲歩をせずに交渉が決裂し,最終的に取引自体が開始されないということはそう頻繁に起こることではありません。

 

 

 ただ,契約書の内容の中には重要なものもあり,その条項を拒否してきたり,重要な契約内容を販売店(Distributor)に有利に変更しようとしたりするのであれば,そもそも信頼できないため,交渉を打ち切り取引を開始しないほうが良いというケースも存在します。

 

 

 例えば,秘密保持義務(Confidentiality)を拒否してきたり,守秘義務に違反した場合の妥当な違約金(損害賠償の予定/Liquidated Damages)の支払いを拒否してきたり,違約金の金額を非常に少なくする修正要求をしてきたりする場合です。

 

 

 秘密保持義務は,言うまでもなく非常に重要な義務です。これに違反した際に,小額の違約金の支払いしか約束しないというのは,ある意味,その金額を払ってサプライヤーの機密情報をこれを不正利用すると言っているようなものです。



 理論的には,予定された賠償金額を支払いさえすれば,秘密情報を買えるということに等しいからです。

 

 

 そのため,このような条項に合理的な理由なく賠償金の上限を設けるように修正要求をしたり,損害賠償の予定条項を削除要求をしたりする取引先は簡単に信用しないほうが良いでしょう。



 なお,損害賠償の予定条項で賠償金が高額すぎる場合(損害賠償請求を狙った詐欺的なケースもあるくらいです)は,逆に問題がありますので,このような場合に,合理的な賠償金額に変更するよう求めてくることは問題ないでしょう。


 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,通常,契約終了時に販売店(Distributor)がサプライヤーに対し,契約終了についての補償金の支払いを要求できないという条項を入れます。

 

 

 これは,契約終了時にあたり,補償金の支払いを要求されるかもしれないということでは,そもそもサプライヤーが適切な販売店(Distributor)の選定をできなかったり,今まで上げた利益を確保できなくなったりするという不都合が生じるからです。

 

 

 この契約終了時の補償金の不払いに関する条項に過剰に抵抗する販売店(Distributor)も取引相手としては不適切な場合があります。

 

 

 もちろん,販売店保護法などで補償金の支払いが強制されているような場合は別ですが,そうではないのに,こうした条項の挿入に抵抗してくるということは,最終的に販売店が消費した販促コストなどをサプライヤーに払わせようという思惑が販売店(Distributor)にあることがあります。



 契約終了後に補償金の支払いを要求できるのであれば,それまでに販売店(Distributor)が負担した販促費用などを回収できることを意味するからです。

 


 一般的に,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,販売店(Distributor)が販促費用やマーケティング費用を負担しますので,このような姿勢には問題があることが多いです。


 

 販売店は,マーケティングコストなどに加えて,自社負担で商品を仕入れ転売するため,手数料ビジネスである代理店に比べリスクが高いです。その分,一般的には得られる利益も代理店よりも高くなっています。



 それにもかかわらず,販促コストを負担しないとなれば,リスクは減るのに得られる利益は変わらず大きいことになり,アンフェと考えることもできます。


 

 この点をいくら説明しても理解しない販売店にはそもそもビジネスのリスクの取り方についての考え方に問題があることがあります。

 

 

 そのため,こうしたケースで交渉を重ねても販売店(Distributor)の態度が軟化しない場合には,取引自体中止したほうがケースもあります。



 要するに,契約交渉過程で相手の要求があまりに不合理だということが判明した場合は,そうした信頼できない相手との取引は見合わせたほうが良いことがあるということです。



 海外企業から魅力的な引き合いがくると嬉しくなってできるだけ取引を実現させたいと思われることもあるでしょうが,そこは冷静になって,取引先が信用に値するかを十分に吟味するようにしましょう。



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