Misappropriate(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Misappropriateがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「不正流用する/横領する」という意味で使用されます。
英文契約書では,misがつかないappropriateも悪い意味で使用されることが多いですが,このmisappropriateはmisが冒頭に付いていますので,そもそも単語自体悪い意味を含んでいます。
例えば,守秘義務契約(NDA)や守秘義務条項(Confidentiality)などで,秘密情報の不正使用や目的外使用を禁止するときに,このmisappropriateという用語を使うことがあります。
The Receiving Party shall not misappropriate the Confidential Information disclosed by the Disclosing Party.(受領当事者は,開示当事者から開示された秘密情報を不正に流用してはならない。)などとして使われます。
秘密情報の不正使用があると,開示当事者(Disclosing Party)はときに回復不能な損害(Irreparable Damage)を受けるので,misappropriateは絶対にさせないようにしなければなりません。
そのため,自社の秘密情報を提供する前に十分に相手方を調査(Due Diligence)し,守秘義務契約(NDA)を交わしてから,必要最小限度の情報を開示するというのが鉄則となります。
いくらmisappropriate(不正流用する)を契約書で禁止しても,図らずも過失で破られることもありますから,物理的に違反ができないように,開示情報をできるだけ制限することも大切です。