Recur(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Recurがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「再び起こる/再発する」という意味で使用されます。
英文契約書で使用される場合は,あまり良い意味では使用されず,どちらかというと悪い意味で使用されることが多いかと思います。
例えば,売買契約(Sales Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)で,「商品に不具合や欠陥(Defect)があった場合に,これが再発することがないように,売主が対応策を講じなければならない」などと規定するときに,このrecurが使われることがあります。
同様の意味を表す用語としては,re-occurがあります。
Occurが「起こる」という意味ですので,それに繰り返しを意味するreをつけてre-occurでrecurと同様の意味を表すことができます。
こちらも「再発する」という文脈を表したいときに使える用語です。
このように,契約書では,問題の商品を交換して現状の問題を解決するだけではなく,上記のように将来また同じことが起こらないように対策をする義務が課されることもありますので,注意が必要です。
再発防止策,つまり,同じことを繰り返さないようにする対策が求められている場合,どの程度行っていれば,仮に再度同じことが生じたとしても免責されるのかはケース・バイ・ケースでしょう。
この点は,再発防止への努力義務の程度を契約書に記載することも考えられます。
Commecially reasonable efforts(商業的に合理的な努力)やbest efforts(最善の努力)という定め方が例として考えられます。
ちなみに,best efforts(最善の努力)という用語を英文契約書で使用すると,実務的には日常用語の語感よりもかなり重い義務を意味することになるので,注意しましょう。
すなわち,国際取引の実務上は,best endeavours(efforts)(ベストエンデバー/ベストエフォート)は,「目標を達成するために,一切の可能な努力を行わなければならず,かつ,利用可能なすべての財源を使うことを含む」とかなり重い義務に解釈されるおそれがあります。