英文契約書の相談・質問集303 NDAを締結した後に基本契約する際の注意点はありますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「NDAを締結した後に基本契約する際の注意点はありますか。」というものがあります。
正式な取引を開始する前に,取引開始のために当事者が保有する情報を交換することがあります。
その場合には,秘密保持契約書(NDA)を締結し,秘密情報を厳に秘密として管理し外部に漏洩せず,目的外使用をしないということを約束するのが通常です。
そして,当事者がお互いに秘密情報を交換し,いざ本格的に取引を開始するとなった段階で基本契約を結びます。
この基本契約の段階で,締結した過去のNDAをどうしたら良いのでしょうか。
これには,大きく分けて2つの方法があります。
まず,1つ目は,NDAを基本契約の締結をもって失効させるという方法です。
ただ,守秘義務自体は存続させたいということがほとんどだと思いますので,これまで交わした秘密情報については,NDAで秘密情報扱いとし,今後基本契約後に交わす秘密情報は基本契約書の守秘義務条項で守秘義務の対象とするという方法です。
この場合,NDAのほうには,契約終了後も一定期間秘密情報の守秘義務は負うという内容を定めておくのが通常です。
これにより,NDAが失効してもNDAに定められた一定期間はなお守秘義務があるという扱いになります。
次に,2つ目の方法は,NDAをそのまま存続させるという方法です。
基本契約書には,守秘義務条項を具体的に入れず,NDAが存続するということを記載します。
これにより,NDAと基本契約書双方が効力を有するという関係になります。
なお,NDAを締結した後に基本契約を締結する場合の注意点としては,基本契約書に完全合意条項(Entire Agreement)が挿入されていて,その内容によって,過去の約束であるNDAが失効してしまい,かつ,基本契約書に守秘義務条項が入っていないということにならないようにするという点です。
上記のようにしてしまうと,基本契約の締結をもってNDAが効力を失い,その後基本契約では守秘義務が課されていないとなり,将来の秘密情報の取扱に問題を生じる可能性があるからです。
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