英文契約書の相談・質問集304 英文契約書を和訳して専門家に修正させて英訳する際の注意点
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書をいったん和訳して専門家に修正してもらい英訳するときの注意点」というものがあります。
取引先が提出してきた英文契約書をチェック・レビューしてある程度フェアな内容にしたり,自社に有利な内容に変更したりしたい場合の方法はいくつか考えられます。
まず1つ目は,単純に英文契約書を英文のまま熟読して,問題がある箇所を修正していく方法です。
もちろん,法的なレビューをするという意味では,自社のリーガル部門か,法律の専門家である弁護士がレビューをするということになるでしょう。
これは最もオーソドックスな方法で,特に問題はなく,理想的な方法といえます。
ただ,英語が苦手という方や,英文契約書の基礎になっていることが多いを英米法を理解していない方にとっては選択できない方法ということになってしまいます。
そのため,2つ目の方法として考えられるのが,いったん翻訳業者などに和訳をさせ,その後,弁護士などの専門家に和訳を日本語で修正してもらい,それをまた英訳するという方法です。
この方法ですと,英語が苦手でも,法律に明るい専門家であれば,和文のチェックと修正によってレビュー業務ができます。
ただ,この場合,修正した和文を英訳する際に問題を生じることがあるので注意が必要です。
和文を修正する際に,英米法を意識して和文修正ができればまだ良いかと思うのですが,和文のチェック・修正する際には日本法の考えに基づき,日本の実務の感覚でレビューするほうが多いかと思います。
この場合,できあがった和文契約書を英訳すると,英語の表現が不自然になったり,英米法の考え方ではないため相手が理解できない内容になったりする危険があります。
英文契約書や国際取引の世界には,共通した実務といいますか,リスクヘッジの方法や表現に決まった言い回しのようなものがあるのも事実です。
そのため,日本語で修正したものを英訳しても,表現が相手に通じなかったり,英文契約書・国際取引のリスクヘッジとしては不十分・不適切であるということが起こり得るのです。
したがって,英文契約書を和訳して修正し,それを英訳するという過程を辿る場合は,最後の英訳の際に,できるだけ相手が違和感を感じないような表現にすることが必要といえるでしょう。
具体的には,あくまで和文を直訳するのではなく,和文の修正の趣旨を汲み取って,それを英文契約書の実務として自然な表現に変えて英訳するという作業が必要になると思います。
このように,言語を別の言語に置き換えるというのはそもそも無理があるので,できれば英語は英語のままで内容を検討し,英語のまま修正するのがやはりベストプラクティスといえると思います。
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