英文契約書の相談・質問集310 売主は商標についてはどう対応すべきですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「売主は商標についてはどう対応すべきですか。」というものがあります。
売主/サプライヤーが,外国で販売店(Distributor)を指名し,商品を販売展開して行く際に,売主が使用している商標やロゴをどのようにすべきかということが問題になります。
商標は,登録すれば保護を受けられますが,国ごとに登録を受ける必要があります。
そのため,売主は,日本国内のみならず,進出先の国でも商標を登録することがまず必要になります。
先にその商標や類似の商標を外国企業に登録されていると,やっかいな問題になりますので,早めに登録はすべきです。
もし,何らかの事情で売主が自社で進出先の国において商標を登録してから進出できないということがあったとしても,販売店(Distributor)がその商標や類似の商標の登録を現地国ですることを禁止する条項を契約書に定めておきましょう。
売主が商標登録を指定ない状態で,かつ,販売店(Distributor)の商標登録を禁止していない状態で販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を結び商品を販売展開してしまうと,あとで関係が悪くなった際などに,販売店が商標登録をしてしまうことが考えられます。
例えば,売主が販売店との契約を終了させて,別の販売店を指名しようと考えた際に,旧販売店が嫌がらせの目的で,売主の商標を登録し,それを買い取りしなければ新販売店に商標を使用させないということで対抗してくることがありえます。
このような事態を防ぐため,せめて契約書にはこうした行為を禁止する条項を挿入しておくべきでしょう。
また,仮に売主が商標登録を現地国でしていたとしても,販売店との契約を終了させようとすると,販売店が腹を立てて,それまで販促宣伝活動により商標のブランド価値を現地で上げてきたのは自分たちであるから,その分の補償金を払えなどと要求してくることもあります。
このような要求に対しては,一切支払いに応じられないということを予め英文契約書に書いておくこともあります。
→【英文契約書の相談・質問集311】販促資料はサプライヤーの承諾なく作れたほうが良いですよね。

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