英文契約書の相談・質問集312 ずっと契約を続けたい場合は契約期間を設けなければ良いですよね。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「ずっと契約を続けたい場合は契約期間を設けなければ良いですよね。」というものがあります。
例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結するときに,販売店(Distributor)が,特に期間は設けず,自社が債務不履行などの問題を起こさない限り永遠に契約を継続したいと考え,契約書に契約期間を定めなかった場合,どうなるかというのがここでの問題です。
販売店は,契約を永遠に続けたいと思って契約期間を定めなかったとしても,法的にはそうはならず,期間の定めがない,つまりは,一方の当事者の意思によりいつでも終了させられるという意味だと解釈される可能性が高いです。
もちろん,その契約書の準拠法がどこの国の法律となっていて,その法律がどのように定めているかによりますが,上記のようにいつでも契約を終了させられると解釈される可能性があることに注意しましょう。
自社としては,契約期間を定めないことによって,期間制限なく永遠に商権をもらったと喜んでいたら,あっさりと,メーカーから解約の申し入れをされ,法的に争ってみたが敗訴したということがありえます。
もっとも,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)など契約関係がある程度の継続する契約のをめぐっては,販売店(代理店)保護法と呼ばれる法律や,準拠法を管轄している裁判所の判例により,販売店が保護されるケースがあります。
そのため,期間の定めをせずに,取引を開始しそれなりの期間取引を継続しているような場合は特に,上記のような法律などによって販売店が一定の保護を受け,突然契約終了に追い込まれる可能性は低くなるかもしれません。
ただし,それも法律や判例次第ですので,当事者の意思として,長期契約を望んでいるのであれば,期間については長めに設定し,あとは自動更新条項を設けるなどして,きちんと長期にわたる契約関係を望んでいることを契約書で表したほうが無難といえます。
このように,当事者が望んでいる内容を契約書に表現したつもりが,必ずしもそのとおり法的に認められるとは限りませんので,準拠法の内容や判例を事前に確認しておく必要がある場合があります。
→next【英文契約書の相談・質問集313】準拠法と裁判管轄(仲裁地)を第三国にする場合どう選んだらよいですか。
英文契約書に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。
正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。
原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。