英文契約書の相談・質問集313 準拠法と裁判管轄(仲裁地)を第三国にする場合どう選んだらよいですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「準拠法と裁判管轄(仲裁地)を第三国にする場合どう選んだらよいですか。」というものがあります。

 

 準拠法(Governing Law)裁判管轄(Jurisdiction)または仲裁地(Arbitration)は,英文契約書の交渉の際によく揉める条項の一つです。

 

 というのは,当事者がお互い自国の法律を準拠法にして,自国の裁判所や仲裁機関を紛争解決機関としたいと主張して交渉がまとまらず難航することがよくあるからです。

 

 このような場合の打開策としてよく挙げられるのが,当事者のどちらの国でもない第三国の法律を準拠法にして第三国の裁判所や仲裁機関を紛争解決機関として定めるというものです。

 

 では,第三国にするといった場合,どのような基準で第三国を選べばよいのでしょうか。

 

 まず,「公平性」を重視しましょう。例えば,裁判所でも,まだ司法制度が十分に成熟していない新興国などでは,賄賂が横行していたりして残念ながら公平とはいえない場合があります。

 

 このような国を選ぶのは避けたほうが無難でしょう。調査をした上で,ある程度公平性に評価のある国の裁判所や仲裁機関を選ぶのが重要かと思います。

 

 また,第三国の裁判所で解決すると裁判管轄を選定しても,裁判所が管轄権を認めて裁判を受けてくれるかどうかはわからないところがあります。

 

 その国の民事訴訟法に相当する法律と,裁判所の判断によってきますので,不透明なところがあります。

 

 このような観点からは,裁判よりも仲裁を選択して,外国企業同士の紛争解決を過去に多数扱っている実績のある国の仲裁機関を選定するのがよいかもしれません。

 

 さらには,当事者間の公平性の観点からは,各当事者の国から物理的な距離がそれほど不公平にならない国を選ぶということも大切でしょう。

 

 例えば,日本とフランスの企業の紛争解決地をイギリスとすれば,フランス企業に距離的には有利になります。

 

 こうした明らかに不平等が生じないように,上記の例ではアメリカのニューヨーク州を選択するなどしてバランスを取るということもよくあります。

 

 物理的な距離以外にも,法的・文化的に大きな不平等が生じないように配慮するということもありえます。

 

 例えば,当事者の一方がコモン・ローの法体系の国に属していて,他方が大陸法の法体系の国に属している場合に,コモン・ローの国を選定すると,後者の当事者が反発するということが起こりうるからです。

 

 以上のように,第三国を選定する際には選定基準がいろいろとありますが,様々な意見を出して最終的には妥協もしつつ合意することになるでしょう。

 

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