英文契約書の相談・質問集314 契約交渉に弁護士の立会いを依頼できますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約交渉に弁護士の立会いを依頼できますか。」というものがあります。
答えはもちろんできます。弁護士に契約交渉の立会を依頼し,弁護士が承諾すれば当然ですが可能です。
ただ,そうするのが妥当かというと慎重な検討を要すると思います。
契約交渉時に弁護士が立ち会ったり当事者を代理したりというのは私の経験でもほとんどないです。
よほど大きなプロジェクトであれば,双方の弁護士が出てきて法的論点もその場で話し合うなどの場面もあるでしょうが,通常の商品やサービスの売買に関する国際取引では,そういうことはほとんどありません。
交渉段階で法的な争点が生じていてそれについて解決しておく必要があるなどの特殊な場合ではありうるでしょうが,そのような特殊な事情もないのに,弁護士が交渉の場に出てくれば相手は驚くと思います。
もし交渉の場に弁護士を立ち会わせるのであれば,相手も同じように弁護士をつけて立ち会わせたほうが良いでしょう。
そうしないと,自社側だけ弁護士が同席し,交渉時に「これは法的にこうなるからこれで問題ない」などと弁護士が述べて,契約書が成立したなどとなれば,あとで相手方から「この契約書のこの内容は交渉時に相手の弁護士から法的に問題ないと騙されてサインしたのだ」などと言われかねません。
弁護士は法律のプロであるがゆえ,そうではない人と同席して一方の当事者によって立ちながら,相手に対し何かを発言したりすると,ときに威圧的になったり,強制されていると相手に受け取られたりすることがあるので慎重さが求められるのです。
そのため,「英語に不安があるし,相手からやり込められたらどうしよう」と不安に思われる気持ちはわかるのですが,良好な関係にあり,これから長期的に付き合おうという取引先との交渉に弁護士をいきなり立ち会わせるというのは,慎重になったほうが良いでしょう。
それよりも,交渉を担当者に任せて,必要に応じてバックオフィスから弁護士の助言を得て,必要に応じて弁護士に相手向けのコメントを用意してもらうなどしながら自社で対応するほうがほとんどの場合適切だと思います。
自社の防衛ばかり考えて相手がどう感じるかを想像しないと,ときに相手にいらぬ警戒心を抱かせる結果にもなりかねないので,注意したほうが良いでしょう。
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