英文契約書の相談・質問集319 海外の弁護士に契約書を見てもらうときのポイントは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「海外の弁護士に契約書を見てもらうときのポイントは何ですか。」というものがあります。
例えば,日本企業が外国企業との間で,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を交わすということになったとします。
そして,自社として取引条件や責任の分配など必要なことを定めて契約書の形にしたところ,準拠法と裁判管轄が相手方の国の法律と裁判所に定められることが決まったとします。
この場合,準拠法が外国の法律ですし,紛争解決も外国で行うことになっているので,念のためその国の弁護士に契約書のレビューをしてもらうのがより安全ということになります。
では,このように海外の弁護士に契約書を見てもらう際にポイントはあるのでしょうか。
基本的に多くの国で,「私的自治の原則」や「契約自由の原則」と呼ばれる原則が採用されているので,当事者が合意した内容はできるだけ尊重されることになっています。
そのため,契約書に記載された内容は基本的にそのまま効力を有します。
ただし,例外があります。例えば,強行法規/強行規定と呼ばれる法律に違反していると,契約書の条項が無効となったり,適用が制限されたりすることがあります。
強行法規/強行規定とは,当事者が合意をしてもその合意が法律に違反している場合,法律が優先して適用される場合の法律を指し,要するに,当事者の意思に反して強行的に適用される法律をいいます。
具体例としては,独占禁止法や競争法,販売店保護法(代理店保護法)などが典型的なものとして挙げられます。
また,法律ではなくても現地の裁判所の判例によって,契約書の内容が無効となったり修正されたりすることもありえます。
そのため,海外の弁護士に依頼する場合は,現地の法律や判例に照らして契約書の内容が②無効になって効力が得られない内容がないかということや,②内容を制限されたりするものがないかということをまずはポイントとして照会すべきでしょう。
もう一つのポイントとしては,契約書に書いてある内容以外のところで,法律や判例が適用されて,日本企業が不利な取扱いを受ける可能性がないかを聞くと良いでしょう。
契約書には,できるだけ,権利や義務,契約違反の効果,問題が起きた場合の責任の配分などを漏らさず記載すべきですが,それでもあらゆる事態を記載することは困難です。
そして,契約書に記載がない事項について問題が起きた場合は,準拠法や準拠法を管轄する裁判所の判断により最終的な解決が図られることになります。
そのため,契約書に書かれていない点で日本企業に不利益な内容がないか,記載していないことで記載をしておいたほうが良いことはないかという視点も契約書のレビューを依頼する際には大切になってきます。
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