英文契約書の相談・質問集270 法廷地法(lex fori)とは何ですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「法廷地法(lex fori)とは何ですか。」というものがあります。

 

 

 法廷地法というのは,訴訟手続が係属している(行われている)裁判所が所属する国の法律のことを指します。

 

 

 ちなみに,lex foriというのはラテン語で「法廷地法」を表します。

 

 

 例えば,日本の東京地裁に訴訟が係属した場合の法廷地法は日本法ということになります。



 当然ですが,訴訟手続が係属している東京地裁は日本の裁判所だからです。

 

 

 そして,裁判をどこの国の手続法を使って進行するかについては,基本的に法廷地法によるとされています。

 

 

 これは,日本にある東京地裁が,例えばフランスの訴訟手続法にしたがって裁判を進行するなどは現実的ではないので,原則として自国の訴訟手続法に従うということですので,納得しやすいかと思います。

 

 

 そのため,東京地裁に訴えが継続した場合,日本の民事訴訟法によって裁判が進められます。


 

 これは,裁判をどこの国の手続法に従って進めるかという「手続法」の問題です。



 この手続法というものは,例えば,訴訟はどのように提起するのかとか,口頭弁論というのが行われるとか,口頭弁論とは何をするのかとか,証人尋問とは何なのかなど,もっぱら裁判の進行に関する手続きを規定しています。

 

 

 これに対し,「実体法」という概念が別途あります。

 

 

 例えば,原告が被告に対し1,000万円の損害賠償請求権を有しているかというテーマを,日本の民事訴訟法を使って東京地裁で裁判するという場合,原告に損害賠償請求権があるかどうかを判断するのは実体法に従って判断します。

 

 

 債務不履行に基づく損害賠償請求なのであれば,それが発生する要件を実体法が定めているので,実体法が定める内容に従って,裁判官が判断するわけです。



 実体法は,例えば日本の民法や商法が該当します。


 

 この実体法が,どこの国の法律になるのかという問題は「準拠法」という問題です。



 例えば,東京地裁に訴訟が係属すれば,「法廷地法の原則」(法廷地法=ここでは日本の法律により判断するという原則)により,日本の国際私法(または衝突法)(つまり「法の適用に関する通則法」)に従って,準拠法(実体法)が判断されることになります。



 そして,「法の適用に関する通則法」(通則法)を適用して準拠法が日本法であると判断できる場合は,東京地裁が日本の手続法(民事訴訟法や民事訴規則)に従い,さらに日本法を実体法(民法や商法)として裁判をするということになるわけです。

 

 

 「法の適用に関する通則法」(通則法)による代表的な準拠法の決定基準は当事者の合意(通則法第7条)です。

 

 

 そのため,基本的に契約書で準拠法が選択されていればそれに従い,記載がなければ「法の適用に関する通則法」の他の基準により決めることになります。

 

 

 わかりにくいですが,上記の例で,例えば,契約書にドイツ法を準拠法にすると記載があれば,東京地裁は日本の民事訴訟法にしたがって裁判を進めるものの,実体法はドイツ法を採用し,ドイツ法により損害賠償請求権があるかどうかを判断することがありうるということになります。

 

 

 このように,民事訴訟では,実体法(上記例ではドイツ法)と,手続法(上記例では日本法)が異なるということが理論上起こりうるのです。

 

 

 ただ,通常は,契約書において,準拠法(実体法)をドイツ法とするのであれば,ドイツの裁判所で解決するという管轄規定も同時に置くので,上記のように実体法と手続法が乖離するということはそれほど起こりません。

 

 

 ここでは,法廷地法(lex fori)とは,裁判が継続している国の実体法と手続法を指していて,民事訴訟ではこの2つが違う国の法律になることが理論上ありうるということと,訴訟手続は基本的に法廷地法によるので,異なる国の法律になるとすれば実体法の方であるということを覚えておくと良いかと思います。


 

 さらに,消滅時効について付言しておきます。



 日本のような大陸法系の国では,消滅時効は実体法の問題とされていますので,消滅時効期間はいつからいつまでか,時効中断事由はどういうものがあるのかなどについては,実体法である準拠法を見てチェックすることになります。



 これに対し,英米法系の国では,消滅時効は手続法の問題とされているので,時効に関する詳細は法廷地法を見てチェックするということになります。



 なお,中国は大陸法の影響を受けているものの,消滅時効に関しては手続法の問題とされているようですので,注意が必要です。



 このように,国によって消滅時効の扱いも異なっているので注意しましょう。

 

 

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