フィリピンの法制度

日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してフィリピンに進出する際,以下のようなフィリピンの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
フィリピンには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。
日本の民法・商法に相当するフィリピンの法律には販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される法律で,いわゆる「強行法規/強行規定」として,当事者の合意に優先して適用される重要な内容は,原則としてないと考えて良いかと思います。
そのため,フィリピンの法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。
したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある
①中途解約条項,
②債務不履行解除条項,
③契約期間満了による契約の終了条項(更新拒絶条項)
なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。
また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関してもこれを禁止するような法律の内容はないと考えて良いでしょう。
② 登録制度
フィリピンでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
フィリピンの公用語の一つが英語ですので,英文契約書で問題なく効力を有します。
④ 準拠法・紛争解決
フィリピンの司法制度は使い勝手が良くないとも言われいているため,フィリピンでの裁判を選択することはあまりおすすめできません。
フィリピンでの仲裁は,フィリピン紛争解決センター(Philippine Dispute ResolutionCenter, Inc.; PDRCI)において行うとされることが多いと思われます。裁判より機能しているという話を聞いていますので,裁判よりは仲裁を選択するほうが良いかと思います。
以上が,日本企業がフィリピン企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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