カナダの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してカナダに進出する際,以下のようなカナダの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
カナダは,イギリス法の影響を受けたコモンローの法体系に属する国の一つです。
もっとも,カナダは,連邦法と,州制度による州法を採用しているので,一口にカナダ法といっても州によってかなり法律の内容が異なります。
そして,ケベック州は,大陸法系に属する州とされており,他の英米法系の州と比べて特殊な法律が存在しています。
例えば,フランス語憲章などが挙げられます。こちらの記事でフランス語憲章について解説しています。
そのため,カナダの法律を調査する際は,州レベルで調査をする必要があることに注意しなければなりません。
なお,カナダには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された特別な法律は存在していません。
上述した販売(代理)店保護法のような強行法規/強行規定はないため,各州の法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。
したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある
①中途解約条項,
②債務不履行解除条項,
③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)
なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。
② 登録制度
カナダでは,連邦法において販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
言うまでもありませんが,公用語が英語ですので英文契約書の締結が可能です。
④ 準拠法・紛争解決
前述したとおり,カナダでは州法が存在するので準拠法をカナダ法にする場合,カナダ法というのではなく,どの州の法律を準拠法とするのかも選択する必要があります。
カナダでの仲裁を選択することもあります。例えば,カナダの商事仲裁センター (Canadian Commercial Arbitration Centre: CCAC)において仲裁を行うなどと取り決められることがあります。
以上が,日本企業がカナダ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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