イタリアの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してイタリア進出する際,以下のようなイタリアの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
イタリアには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された特別法は,存在していません。
そのため,販売店契約に関しては,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。
したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある
①中途解約条項,
②債務不履行解除条項,
③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)
なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。
また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,このような取り決めに関しても原則として有効になると考えて良いでしょう。
② 登録制度
イタリアでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に関し特に言語的な制約はなく,英文契約書の締結が可能です。
④ 準拠法・紛争解決
販売店契約に関して準拠法の制限はなく,外国法を準拠法としても原則としてそのとおりに効力が生じます。
イタリアでの仲裁を選択することもあります。例えば,イタリア仲裁協会
(Italian Association for Arbitration)において仲裁を行うなどと取り決められることがあります。
以上が,日本企業がイタリア企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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