スペインの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してスペイン進出する際,以下のようなスペインの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
スペインには,代理店契約(Agency Agreement)については,代理店を保護するための特別な法律(Act 12/1992 on Agency Contracts of 27 May)が存在しています。
ただし,上記は代理店契約のための法律であり,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に直接適用されるものではありません。
スペインには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された特別法は,存在していません。
そのため,販売店契約に関しては,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。
ただし,スペインの裁判所の判例では,例えば,サプライヤーが販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を解除した場合に,販売店(Distributor)に対し補償金の支払いを必要とすると判示するなど上記の代理店保護に関する法律を類推適用して,販売店(Distributor)を保護することがあるので注意が必要です。
また,日本の不正競争防止法に相当する法律(Law No.3/1991 of January 10, 1991, on Unfair Conpetition)では,サプライヤーへの販売代理店の取引依存度が高い場合,サプライヤーからの販売店契約の解除を制限しているので,この点も注意が必要です。
② 登録制度
スペインでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に関し特に言語的な制約はなく,英文契約書の締結が可能です。
④ 準拠法・紛争解決
販売店契約に関して準拠法の制限はなく,外国法を準拠法としても原則としてそのとおりに効力が生じます。
スペインもニューヨーク条約に加盟しているので,国際紛争解決手段としては,国内外での仲裁手続を選択することがあります。
以上が,日本企業がスペイン企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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