英文契約書の相談・質問集341 SDS(MSDS)とは何ですか。

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英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「SDS(MSDS)とは何ですか。」というものがあります。

SDSとは,Safety Data Sheet(安全データシート)の略称です。

以前はMSDS: Material Safety Data Sheetと呼んでいましたが,現在はSDSで統一されています。

SDSとは,事業者が化学物質および化学物質を含んだ製品をほかの事業者に譲渡/提供する際に交付する化学物質の危険有害性情報を記載した文書のことを指します。

日本の労働安全衛生法では,災害を未然に防止するために,化学物質を安全に取り扱えるように,化学物質を譲渡/提供するときは,その化学物質の危険有害性等を記載した文書=SDSを交付することが義務とされています。

もっとも,上記のとおりSDSを交付しなければならない相手方は,あくまでほかの「事業者」です。

そのため,事業者ではない一般の消費者がSDSの交付を求めたとしても,SDSを交付しなければならない法的義務はありません。

したがって,例えば,競合他社の人間が一般の消費者を装い,SDS記載情報を知りたいがためにSDSの交付を要求してきたとしても,自社の商品の譲渡先の事業者ではないですから,SDSの交付を拒絶することができます。

つまり,あくまでSDSの法的な交付義務を生じる交付先は,自社の取引先など,商品を譲渡する先の事業者ということになりますので,競合他社などに交付する義務を生じるということは通常ないことになります。

ちなみに,危険有害性については,化学品の分類・表示に関する世界調和システム(通称: GHS)に基づく分類を行った上で,その内容をSDSに記載します。

SDSの交付は,前述したとおり化学物質を安全に取り扱えるようにするための情報提供義務の一環として規定されているものですが,競合他社などにとっては貴重な情報が掲載されている側面が否定できません。

本来の目的に沿った交付ではなく,不正な目的でSDSの記載情報を利用されるということがないように注意しつつ,法的な交付義務に違反することがないように注意しなければなりません。

同じようなことは,成分表などでも起こります。日本企業が商品を輸出する際に輸入者に対し成分表を提出しなければならないことがあります。

このときに成分表に記載された情報を不当な目的で利用されないよう,NDAなどを事前に交わすということは最低限しておかなければならない対策の一つでしょう。

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弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,931件

執筆 弁護士 菊地正登(第二東京弁護士会/片山法律会計事務所)

2003年弁護士登録。英国 University of Southampton のLL.M(法学修士)コースワークで英米法・国際取引法等を学び,ロンドンの法律事務所 Hill Dickinson LLP で実務経験。英文契約書・国際取引を中心に取り扱っています。プロフィール

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