Oral(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Oralがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「口頭の」という意味で使用されます。

 

 Oralという用語がよく登場するのは秘密保持契約書(NDA)や一般的な契約書の秘密保持条項(Confidentiality)の中です。

 

 そして,秘密保持契約書などにおいてoralが使われるのは,「口頭で情報が提供された場合も秘密情報として扱われなければならないが,その場合,提供から30日以内にそれが秘密情報である旨を文書により指定しなければならない」というような文脈においてです。

 

 NDAにおいて秘密情報に該当させるための要件として,ConfidentialProprietaryというような用語によって秘密情報であることを指定した場合という内容がよく定められます。

 

 ただ,この場合,口頭によって提供された情報については,口頭による伝達は有体物の提供を伴わないため,秘密指定が難しいということがあります。

 

 もちろん,口頭で「これは秘密情報です」と併せて伝えればよいのかもしれませんが,それでは後で言った言わないの水掛け論になる可能性があり,秘密情報に該当するかどうかの線引が明確でなくなってしまいます。

 

 そのため,一定期間内に改めて秘密であることを書面により指定した場合に限り秘密情報とするという取扱いが一般的に行われているのです。

 

 ただ,このような取扱いには問題がないわけではありません。

 

 というのは,口頭でその情報が提供されてから,秘密指定されるまでにタイムラグがありますので,その期間中の取扱いをどうするのかという問題があるのです。

 

 例えば,口頭で提供された情報は30日以内に秘密指定すると定められていた場合,その30日の間に,情報受領者が自社のためにその情報を利用し,後から秘密指定された場合,秘密保持義務違反になるのかという問題です。

 

 情報提供者からすれば,受領者の利用後に遡って秘密指定しているということになります。

 

 これは,情報受領者にとっては,事後的に秘密指定されても困るという事情があるでしょうし,情報提供者にとっては,30日間は待機期間のようなものなのだから,暫定的に秘密情報として取り扱うべきだという事情があるでしょう。

 

 このように,問題を生じる可能性があるので,口頭により重要な情報を提供する際は,同時に書面により秘密指定するなどの方法を取るのが無難といえるでしょう。

 

 いずれにせよ,口頭(oral)での情報提供もありうるのですが,これは秘密保持義務をめぐっては問題を多くはらんでしまう可能性があるので,できるだけそのような情報提供は避け,何が秘密情報であるのかが明確に判明する方法により提供するようにすべきでしょう。

 

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