英文契約書の相談・質問集346 MSRPとは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「MSRPとは何ですか。」というものがあります。
MSRPは,Manufacturer's Suggested Retail Priceの略称で,いわゆる「メーカー希望小売価格」のことです。
Manufacturer'sの部分を省略して単にSuggested Retail Price=SRPと呼ぶこともあります。
小売店などで商品を買う際にメーカー希望小売価格という表示を見たことがあると思いますが,なぜこうした表示がされているかというと,独占禁止法という法律があるためです。
独占禁止法では,再販売価格をメーカーが指定することを禁止しており,例えば小売店が消費者にその商品をいくらで売るかについて,メーカーが価格を決定することは違法とされています。
そのため,メーカーが指定している価格はあくまで,参考のため,希望を提示しているだけであり,それに小売店などは従う必要がないということになります。
このことを表したのがいわゆる「メーカー希望小売価格」という表記になるわけです。
なお,この再販売価格指定の禁止というのは,日本以外の多くの国でも採用されています。
そのため,日本企業が海外展開するときも,海外の販売代理店などに対して,価格を指定して,その価格で小売店や消費者に販売するように指示することは違法になると考えたほうが良いでしょう。
外国にも独占禁止法や競争法という法律が存在し,メーカーが再販売価格を指定するとこれらの法律に違反することになるからです。
そのため,現地の法律をよく調べて,せいぜいMSRP/SRPを伝えるにとどめ,決して販売代理店などに販売価格を守るように強制することがないようにしなければなりません。
契約書などで価格を強制していなくても,取引を行う上で事実上価格を強制していれば,独占禁止法などに抵触することになりますので,その点も注意が必要です。
もしこのような法律に違反することがあれば,多額の罰金を支払わせられ,大きな損失を受けることになりかねませんので,そのようなことがないよう十分注意して下さい。
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